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日本人が訪れる「大都市」以外の中国でいま起きていること

  • 麻生 晴一郎

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2012年4月25日(水)

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 年4、5回、中国に通い続けている。以前は北京が中心だったが、最近は四川、湖北、河南など内陸部や、南の広東省に行くことが増えた。これらの地では近年、政府と離れた立場から社会や政治に働きかける市民社会的な動きが顕著に見られ、北京・上海など日本人によく知られる大都市よりも目立つようにすら感じる。中国の庶民の間でどのような変化が起きているのか?

烏坎村の意味

 今年2月に広東省陸豊市烏坎村を訪れた。昨年9月、前の村書記らが農地全体の8割などを勝手に売却していたことに村民が抗議デモを開始、村書記らを追い出して村民自ら選挙を実施した。11月に再び抗議デモが起き、人口の過半数にあたる約8000人が食糧持参で連日デモを敢行、陸豊市政府が村の代表者たちを拘束し、うち1人が不審死を遂げるものの、村民たちは粘り強くデモを続け、一部の村民はインターネットで抗争の様子を報じ、国内外の関心を引き起こした。

 結局、12月21日に上級政府の広東省政府が村民の要求と民選選挙の合法性を認める決断を下し、抗争は村民側の勝利に終わった。中国では各地で同様のデモが起きているが、住民の意見がここまで認められるのは異例であり、村民自身が勝手に行なった選挙の合法性が認められたこともこれまでなかった。

 その選挙は今年2、3月に3回に分けて、政府立ち会いで改めて実施された。候補者も投票者も昨年9月実施時と同様の顔触れだが、会場の出入りや投票の集計には政府の係官が加わり、100人を超える警官が動員されるなど、ものものしさが漂った。2月11日に開かれた2回目の選挙に足を運んだが、政府系メディアを除く国内外の記者は会場の一部でしか取材を許されなかった。

 フリーのぼくの場合、記者証も取材許可証も持っていなかったので、当初会場に入ること自体ができなかった。会場である学校の校門をくぐろうとすると10人以上居並んだ武装警官に制止された。

 しかし、ぼくが入れなかったことに対し、村民の一部が「公平、公開、公正が我々の目標。入れないのはおかしい」と騒ぎ始めた。ついには10数人がぼくを取り囲んだまま、強引に校門をくぐってしまった。武装警官は手を出せなかった。

 村民たちの「公平、公開、公正」の追求はこれにとどまらなかった。やがて大勢で政府職員に抗議をし、当初政府系メディアのみに許された会場内の自由取材は、結局だれもができるようになった。

 投票が終わり開票作業が行なわれたが、集計する政府職員の周囲を村民が取り囲み、不正がないか厳しくチェックした。大勢の警官が動員されるなど、確かに政府のあり方は民主国家と程遠いものだが、村民が政府職員を厳しくチェックし、取材規制を取っ払うなど、政府を管理する民が台頭してきたことを強く印象付けられた。

 少し前で言えば05年春の反日デモや、08年の四川大地震の際のニューメディアによる政府批判がそうだし、最近では昨年夏の高速鉄道事故でのインターネット批判により政府の対応が二転三転したことや、同じ時期、大連で化学工場の撤退を求める市民のデモに政府が応じたことなど、政府の在り方に対し市民が厳しい意見を投げかけ、それに政府が影響されるという、“下からの民主化”とでも言うべき事態が中国各地で年々顕著になっている。農村での土地問題をめぐるデモで民衆側が勝利を得た烏坎村のケースは、草の根の力が広東省という大きな政府を動かしえることを証明した意味で、傑出したものだと言え、“烏坎モデル”という言い方が広まり始めた。

権利は勝ち取るべきもの

 今年2月には、河南省鄭州市にも行った。河南省は90年代に貧困地域の地方政府が行なった売血ビジネスによりエイズ感染が蔓延、地方政府の不祥事のために解決が進まず、NGOや弁護士が被害者とともに粘り強く訴訟活動を続けている。中国でも貧しい部類に入る省だが、ほかにも貧困家庭向けの教育施設や環境改善など、政府ができない活動を有志で行なう地元住民の活躍が顕著な一面がある。

 NGOなどで活動する人たちの境遇はさまざまだ。公務員、教師、会社員もいれば、出稼ぎ労働者や農民、無職の者もいる。特に目立つのは、エイズ感染者など弁護士らに助けてもらった経験のある人が自分の件が片付いた後、積極的に他人に奉仕するケースだ。

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