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イノベーションは成功の鍵ではない

『ビジョナリー・カンパニー4 自分の意志で偉大になる』を徹底的に読む【2】

2012年9月27日(木)

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 前回は、コリンズらが、業界の株価指数を10倍以上上回る株価パフォーマンスを上げる「10X型企業」と名付けたこと、また、そうした企業を率いる「10X型リーダー」が備える3つの資質として「狂信的規律」「実証的創造力」「建設的パラノイア」を挙げていることについてお話しました。今回は、この「10X型リーダーの3点セット」のうち、「狂信的規律」についてお話します。

狂信的規律と二十マイル行進

 まず、コリンズらは狂信的規律の例として、「二十マイル行進」をあげます。これは、アメリカ大陸の西海岸であるカリフォルニア州サンディエゴから東海岸のメーン州まで、三千マイルに及ぶ徒歩横断を成功させる秘訣です。暑い日も快適な日も雪の日も、きっちり二十マイル歩き、それ以上は歩かない、その「規律」こそが直面する様々な想定外に対応できる力を与えてくれるのです。

 快適な日は飛ばし、そうでない時は休むほうがよさそうですが、それは結局環境に翻弄されることにもつながり、自らが自らのペース(あるいは運命)をコントロールしていることにはつながりません。成功しないとは限りませんが、長い道のりで悪天候が続けば焦りも生まれ、いつの間にか無理をし、それが大きなマイナスにつながることもあるでしょう。そして、それと同じことが企業経営にもあてはまるのだと指摘しています。

 企業における二十マイル行進とは、(1)越えなければならないハードルと(2)それ以上超えてはならない最高限度を決め、工程表を作り規律を持って一貫したペースで業績を上げ、成長を求めることになります。それが大切な理由として、コリンズらは3つあげます。

 1. 逆境でも成果を出せるという自信を身につけられる
 2. 大混乱を前に大惨事に陥る確率を低くできる
 3. 不可抗力に直面しても自制心を持って対応できる

 特に、1に関しては逆境においても最低限の成果をあげなくてはならないということが10X型思考、つまり業績向上に自らが全面的に責任を負っており、決して自分たちの置かれた状況や環境のせいにしないという思考につながるのだと言います。また2の、大惨事に陥る確率を減らせるのは、規律を持つことで余裕が生まれるからです。しゃにむに成長を追うことで、兵站が伸び切り、失敗することはよくみられます。3もまた1の延長、つまり自らをコントロールする=自制の重要性を指摘することにほかなりません。

 もう2つ重要な示唆があります。1つは、二十マイル行進には2つの苦痛が伴うということです。著者らが指摘するよう(1)厳しい状況下でも断固として高い成果を出さなければならないという苦痛、そして(2)快適な状況下でも自制しなければならないという苦痛、の2つです。

 「戦略とは何をするかを決めるだけでなく、何をしないかをも決めることだ」といわれることがあります。『ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則』だけでなく、マイケル・ポーター教授もハーバードビジネスレビューの論文(1996年)で指摘していました。資源には限りがあるから当然ではないかと思う方も多いかもしれませんが、実際は「何をしないかを決める」ことは簡単ではありません。

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「イノベーションは成功の鍵ではない」の著者

清水 勝彦

清水 勝彦(しみず・かつひこ)

慶應義塾大学大学院教授

東京大学法学部卒業。ダートマス大学エイモス・タックスクール経営学修士(MBA)、テキサスA&M大学経営学博士(Ph.D)。戦略系コンサルティング会社のコーポレィトディレクションを経て研究者に。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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