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難しいのは変化することより「いつ変化すべきか」の決断

『ビジョナリー・カンパニー4 自分の意志で偉大になる』を徹底的に読む【3】

2012年10月4日(木)

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建設的パラノイアとズームアウト、ズームイン

 今回は、「10X型リーダー」が備える3つの資質のうち「建設的パラノイア」についてです。建設的パラノイアでのポイントは、パラノイア(偏執狂)のように心配し、パラノイアのように準備を尽くすということです。マイクロソフトが絶好調な時代に、ビル・ゲイツがどんな悪いことが起こりうるかという「悪魔のメモ」を書き(のちにネットに流出して、株価が11%も下落)、スティーブ・バルマーが「心配性の弟子」となっていたのはその良い例です。

 それこそが『ビジョナリー・カンパニー4 自分の意志で偉大になる』第5章のタイトルである「死線を避けるリーダーシップ」ということにほかなりません。そして、そうした「心配」の重要性は、組織が成功している時ほど重要であることは、二十マイル行進と「規律」のところで申し上げた通りです。

 ただ、すでに述べたように、何でもかんでも、完璧に準備するというわけにはいきません。資源は限られているからです。その意味で、手を抜けるところは何かを見つけ、業績の良い時に余力をため、さらには大砲を撃ちまくって資源を枯渇させるのではなく、確実な手を打つことの重要性が指摘されてきたのです。

 さらに、コリンズらの重要な指摘は「どんなときにでもスピーディにではない」という点です。つまり「早く行動しすぎるとときにリスクが高まる。遅く行動しすぎてもときにリスクが高まる」という基本を認識し、リスクの性質やレベルが変わるまでどのくらいの時間がかかるのか、逆に言えば決定し、行動するまでにどのくらいの時間があるのを見極め、その時間を最大限に活用することの重要性を指摘しているのです。

 よく日本企業は「意思決定が遅い」などと言われます。しかし、よく考えること、遅いことは必ずしも悪いことではないのです。大切なのは「タイミング」を逃さないことなのです。本来のタイミングよりも早すぎる決定や行動は「拙速」なのです。そう言えば、ソフトバンクの孫正義氏もトップダウンで「ずばずば」決めそうに見えるのですが実は「本当に決めなくてはならなくなるまで決めない」と聞いたことがあります。

 コリンズらも指摘するように、実は「決めない」という状況は、宙ぶらりんで気持ちの悪いものです。まさにそれは不確実な状態だからです。ある経営者の次の言葉が引用されています。

 「確かに、不確実性を取り除きたいと願うのは人間の習性だ。でも、そう願うことで早急に判断を下してしまうこともある。時として早過ぎることも。…だから、状況を見守る時間があるならばそうする。何が起きているのかもっとはっきりするのを待てばいい。もちろん、その時が来たら一気呵成に行動できなければならない」

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「難しいのは変化することより「いつ変化すべきか」の決断」の著者

清水 勝彦

清水 勝彦(しみず・かつひこ)

慶應義塾大学大学院教授

東京大学法学部卒業。ダートマス大学エイモス・タックスクール経営学修士(MBA)、テキサスA&M大学経営学博士(Ph.D)。戦略系コンサルティング会社のコーポレィトディレクションを経て研究者に。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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