怒ることの「ススメ」について、これまで5回にわたって書いてきた。
読み直してみて、似通ったことを何度も述べた箇所があったり、具体例を長々と書きまくったりと、まあ一言で言うと「ごたごたと混み入っているな」と反省させられた。
そこで、整理するためにポイントを要約したくなった。読者のためとはいえ、自分のためでもある。
1)もっと怒ろう
報告をしない部下に、「報告ぐらいしろ!」と怒った直後は改まったものの、1週間すると再び報告しなくなった。一度怒っても直らないとあきらめずに、何度でも怒る。「もっと怒ろう」とは、改まるまで何度でも怒ること。
2)怒らない人が多い理由
大人げない、みっともない。とりあえずの理由だが、もっと根深い理由として、「怒ってもどうなるものでもない」「自分が怒らなくても、誰かがなんとかしてくれる」。だから、「怒る」ためには自分への強いモチベーションが必要となる。
3)怒らなければ何も変わらない
怒らない理由の打破として、「怒らなければ世の中、よくならない」を自覚したい。怒るべき時に怒る人が増えれば、職場だってもっと明るくなる。思うに、怒るべき時に怒る人は「心の強い人」である。心が強い人は、親切で、明るい人である。
4)怒りと、怒りに似て非なるもの
時として、怒りの感情は突発的で激しい。とはいえ、「怒髪天を衝く」ほどの怒りを繰り返すのは、近頃の言い方では「ハードクレーマー」であって、怒りと似て非なるもの。作家の落合恵子氏は、白髪交じりのぼさぼさ頭を指して、「怒髪天を衝くで、終始怒り狂っています」と、笑顔で話していた。怒るには「破壊する」「状況を良くする」の2つがあって、後者が本来の「怒る」で、この怒りは明るさを伴うのである。
5)こんな怒りはご法度
3つ挙げておく。
1つ目は「気分で怒る」。不機嫌になると、やたらに怒る人。機嫌が直ると、一転して他人を持ち上げる。これでは、周りに迷惑である。
2つ目は「身勝手な怒り」。自分の思い通りにならないと腹を立て、「何をモタモタしてるんだ、早くやれ!」と怒る。以前、上司に挨拶したのに返事をしてもらえなかった新人が、腹を立てて「こんな会社、辞めてやる」、そう言って退社した話を聞いたことがある。世の中、自分中心に回っていると思い込んでいる人たちである。
3つ目は「相手を責めたてる」。「なぜだ」「どうしてこんなことをした」と質問ではなく詰問で相手を責めたてる。
これら3つの怒り方は、周りを不快にし、結局、自分がみじめになる。
6)カッとなったら、一呼吸おく
「衝動的な怒り」に対処するための、厄介だが大切な心得である。「地震がきたら水を1杯」。こんな標語を見たことがある。突然やってくる怒りは、地震に似ている。
以上、これまでの大まかな整理である。怒るのは「状況をよくしたい」「今の状態を変えたい」「なんとかしたい」からである。相手を認め、関心を持つから、怒るのである。相手に対して「どうでもよい」のだとしたら放っておく。怒りはしない。
口では「お前なんか、いない方がいい」と怒る人でも、本当にそう思っていたら、こんなセリフは吐かないだろう。
ポイントを要約していただいたので再確認できました。私は「笑顔で挨拶」が怒りをコントロールする力を産むと信じています。30歳の後半から、本気で粉飾決算に立ち向かうと決意してから、猛烈に怒っている時ほど、笑顔を絶やさない様に心がけました。「優しい言葉で厳しいことを言う」と煙たがられましたが・・・・。怒りにまかせて、上司に「特攻」しても自殺と同じです。しぶとく生き延びて、必ず勝つには、政治的判断も必要です。落合恵子さんの妹さんという方が学科の後輩にいましたので、本を読みました。怒りのエネルギーを自分の成長に生かすことが出来れば、優しい笑顔で、怒りを笑い飛ばすとか、怒りに感謝出来るということでしょうか。(2012/10/20)