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「目的」と「対立」があるからこそ組織が生きる

西堀栄三郎『ものづくり道』を読む【2】

2012年11月15日(木)

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 西堀栄三郎氏が日本原子力研究所の技術担当理事であった(1957年就任)という話は、読み返すまで気が付きませんでした。そこで「日本の組織はこのように目的が曖昧であることがが非常に多い」と問題提起をされているのを読むにつけ、実は原子力の問題は50年以上もさかのぼるのかと思わざるを得ませんでした。

組織には目的が絶対重要である

 組織に目的が大切なのは言わずもがなのように思われます。そもそも、組織とは目的を達成するために作られるわけですし、西堀氏の指摘されるように「目的意識がないと成員の価値がバラバラになってしまい、組織の共通性とか目的による一体感が保てなくなって、組織内での良いチームワークが生まれない」からです。

 しかし、これは多くの方が経験されていると思うのですが「組織なり、集団が大きくなればなるほど、往々にして目的を明確に打ち出すことをしなくなるというか、企業の存在自体が当然のように考えられ始めること」がここかしこで起こります。

 例えば、大企業の打ち出す「ビジョン」「ミッション」を見れば一目瞭然です。「社会貢献」「イノベーション」「グローバル」そんな耳障りの良い言葉ばかりが並んで、社員にとってなぜ自分たちは競合企業ではなく、この会社で働いているのかを思い出させてくれるビジョン、組織の目的は、めったに見つかりません。世間体をつくろうために作っているのではないかと疑いたくなるほどです。西堀氏は次のように指摘されています。

 そうなると、仕事もなんとなく始め、なんとなく働き、なんとなく終わるという惰性現象が起こり、誰も何の責任も負わなく、責任というものさえ自覚しないような、そういう組織に変わっていく。
 本来の「目的」を遂げるために効率とか生産性を上げるという「手段」が、反対に「目的」化されてしまうのである。
 人はただ生産性を上げるためにこまねずみのように働く、という悲しい現象が起こってしまう。

 街に出れば外食チェーンが競って安価な料理を出し、居酒屋は競って飲み放題を提供しています。そこにあるのは「こまねずみのように働く」社員(ほとんどはアルバイトか派遣社員の方だと思いますが)で、営業用の笑顔は見せても本当にやりがいを感じているのかは「?」がつく場合が多いように思われます。

 また、社員がこまねずみのように働いても、特段業績が素晴らしいわけではない。似たようなお店が、浮気ものの顧客を一生懸命引き寄せようとして苦労し、その多くの場合は「価格」だけをアピールする結果、顧客も「教育されて」(あるいは「すれて」)価格しか見ない…。お店と顧客がお互いのレベルを下げ、苦しんでいるのではないでしょうか。その企業の、あるいはお店の「目的」「存在価値」が見えなくなってしまっていることを、西堀氏は随分前に予言していたように思われます。

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「「目的」と「対立」があるからこそ組織が生きる」の著者

清水 勝彦

清水 勝彦(しみず・かつひこ)

慶應義塾大学大学院教授

東京大学法学部卒業。ダートマス大学エイモス・タックスクール経営学修士(MBA)、テキサスA&M大学経営学博士(Ph.D)。戦略系コンサルティング会社のコーポレィトディレクションを経て研究者に。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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