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「組織の感度」を上げるリーダーシップ

西堀栄三郎『ものづくり道』を読む【3】

2012年11月22日(木)

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三種類の議論

 目的及び対立と関連して、西堀氏は「議論は大体三種類に分かれる」という点を『石橋を叩けば渡れない』で南極越冬中の体験をもとに書かれています。西堀氏の慧眼は、議論の種類によって幕引きの仕方、つまり終わり方も異なるのだと指摘されている点です。

 1つ目は、「議論のための議論」です。無駄といえば無駄ですが、南極での越冬中、西堀はこうした議論も奨励したそうです。その理由は「お互いの個性が実によくわかる」からだといいます。リーダーは部下の役割に関して適材適所はもちろん、動機づけをどうしたらよいかまで知らねばなりません。「部下」とひとくくりにするのではなく、固有名詞、名前のある一人ひとりの人間として理解することがあって初めてチームワークが生まれるのです。この種類の議論の終わり方は簡単です。「ワッハッハッハッ、終わり」。

 2つ目は目的に関する議論です。これも本来、チームだとか組織の目的がはっきりしているのであれば、無駄に見えなくもありません。しかし、西堀氏はこう指摘します。「議論しているのは、どうせ枝葉の問題なのですが、議論すればするほど、この間の関係がいっそうよく理解されるわけです」。目的は意外に忘れられやすいものですし、共有できていたと思っていてもそうでないことが多いことを考えれば、枝葉であっても議論をし続け、忘れがちな原点に戻る姿勢は大切だということです。

 ここでさらに重要なのはリーダーの姿勢だと西堀氏は強調されます。「私は毅然として、ちゃんと制服制帽を着て、俺たちの越冬目的は何であったかという錦の御旗をデンと持って、一歩も譲ってはだめです。そして、とことん納得するまで議論するべきです」。

 外部の環境が厳しくなったり、予想外のことが起きたりして部下から文句が出たりすると、当初の目的を変えたり、部下におもねったりするリーダーでは、人はついてこないということでしょう。よく言われる「ぶれない」とはこういうことです。逆に言えば、目的の重さというものをよく考えろということでもあります。

 終わり方も当然そういう姿勢でなくてはなりません。「共同目的というものを錦の御旗として、あたかも私がその意味では神であるかのごとく態度で、ビクともせずに、その目的だけはピシャッと納得するように持っていくわけです」。

 3つ目は目的を達成する手段についての議論です。「自主性」の大切さは、西堀氏の人間観、チーム観の根底にありますが、ここでも当然「自主性」が重要です。ですから「隊長たるものは、今度は制服制帽を脱いでしまって、裸になって議論の中に入っていきます」。ここの「自主性」とは2つの意味があり、1つは担当者が主体であるという意味、そしてもう1つは仲間であるその他全員は自主的にいろいろな参考意見、いいものも悪いものも、腹蔵なく出し合うということです。

 従って、ここでの終わり方は、担当者が「どうもありがとうございました。つきましては、皆様のご意見を参考といたしまして、私は私の責任においてやらしていただきます」と閉めるのです。

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「「組織の感度」を上げるリーダーシップ」の著者

清水 勝彦

清水 勝彦(しみず・かつひこ)

慶應義塾大学大学院教授

東京大学法学部卒業。ダートマス大学エイモス・タックスクール経営学修士(MBA)、テキサスA&M大学経営学博士(Ph.D)。戦略系コンサルティング会社のコーポレィトディレクションを経て研究者に。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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