• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

「専門家」に従っていたら旅順は陥とせなかった

西堀栄三郎『ものづくり道』を読む【4】

2012年11月29日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

リーダーシップ3:楽観と細心

悲観的なものの見方をし、取り越し苦労ばかりしていたのでは、何も新しいことは生まれてこない。新しいことをやる勇気は、楽観的なものの見方から生まれてくるのである。

「勇気」は「自信」に先行する

 西堀栄三郎氏の人生、そして行動の一つひとつを見ても、こうした楽観、人への信頼、創造性への自信にあふれているモノばかりです。特に、チョモランマ(エベレスト)登山隊の隊長になったいきさつは本当に、京都に生まれたらこんな風になれるんだったら、京都に生まれたかったとほれぼれするようなものです(詳しくは本書をご参照ください)。別のところでも「うぬぼれと自信は同じもの」「忍術でもええで」「なんでもありや」といった言葉は何度でも出てきますし、一緒に働いた方たちの回想でも必ず指摘される点です。

 ただ、西堀氏が豪胆だけでなく、きわめて繊細な神経の持ち主であり、「予想外のことは必ず起きる」と言いながら「予想外を最小にする」ことに努めていたことは忘れてはいけないでしょう。実際、南極での越冬準備に関し「頭のいい男が大勢で調べに行ってくれたのに、私の帳面が一番細かく書いてある。…違う点は、私が、忘れたら大変だという心が一番強かったわけです。ほかの人は私ほど責任感を持っていない、だから普通に見てくる。私は普通以上に見て、その裏の裏を考えて書かなければならない。いわゆる責任感というものがいかに大事かということをつくづく感じました」(『石橋を叩けば渡れない』)。

リーダーシップ4:幅役

 繰り返しになりますが、組織やチームとは、異なった専門性を持った人々を束ね、それぞれの能力を最大限に発揮してもらいながら、個別最適で終わることなく、組織全体の目的を達成することです。ですから西堀氏はリーダーについて次のような指摘をされます。

 「チームのリーダーというのは、チーム全体が「なるほど」と思って忠誠が誓えるような「共同の目的」を設定することができ、かつ、チーム全体が「共同の目的」に向かって一致教育ができるような「場」づくりのできる人でなくてはならない」

 従って、リーダーは「幅役」でなくてはならないというのが西堀氏の信念です。つまり、上に行けば行くほど、時間的にも守備範囲が広がり、さらにより深い見識が求められるからです。

 逆に、専門家という言葉は、一見もっともらしいが、実は怪しい。なぜなら、西堀氏は「非常に深くて非常に幅が広い」ということは難しいとしても、「相当深くて相当幅があることは人間として可能である」と信じているからです。ですからいわゆる「専門家ぶる」ことに対して西堀氏は大変懐疑的です。例えば次のような指摘があります。

コメント0

「MBAプラスアルファの読書術」のバックナンバー

一覧

「「専門家」に従っていたら旅順は陥とせなかった」の著者

清水 勝彦

清水 勝彦(しみず・かつひこ)

慶應義塾大学大学院教授

東京大学法学部卒業。ダートマス大学エイモス・タックスクール経営学修士(MBA)、テキサスA&M大学経営学博士(Ph.D)。戦略系コンサルティング会社のコーポレィトディレクションを経て研究者に。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック