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「自分と向き合うこと」が「人を育てること」の出発点

「人を育てる」とはどういうことか? 河合隼雄を読む【2】

2013年3月7日(木)

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前回に続いて取り上げるのは――河合隼雄心理療法序説(1992年、岩波書店)、カウンセリングを語る 上・下』(1999年、講談社プラスアルファ文庫)

 人を受け入れ、「発見的に歩むのを支援する」カウンセラーの条件としてロジャーズという米国の学者が言っているのは3つのことなのだそうです。その3つとは、

1. クライエントの言ったことに対し無条件に積極的に関心を払っていくこと
2. 共感すること
3. 自己一致、つまりカウンセラーの言っていることと本当に感じていることが一致していること

です。3つといわれると簡単なようですが、実は大変難しいのは指摘されるまでもありません。これは、例えば自分の子供や部下との対話を考えたらすぐに分かります。彼らは「無理難題」を言ってくるわけで、それに対して「無条件に関心を払い」「共感し」「心から対話する」ことができるのは、個人的には「仙人」ではないかと思ってしまいます。

 素晴らしいカウンセラーになれるかどうかはともかく、この3つのポイントには「人を育てる」、あるいは「育つ土壌を作る」ための重要なポイントがあるように思います。

「聴く」は「聞く」とは異なる

 まず大切なのは、相手の話をよく「聴く」ことです。実際、『カウンセリングを語る』の前書きは、わざわざその点に触れています。

人間の心の難しさが分かるにつれて、自分の考えで何かをしようというよりも、ともかくまず相手をよく理解しようとすることが先決であることがわかる。といっても、これもたいへんむずかしいことで、かってに「わかった、わかった」と思っても、それは真の理解にほど遠いことが多い。…ともかく「聴く」ことがどれほど大切かということが、本書では繰り返し強調されるであろう。

 「聞く」ではなく「聴く」という漢字を河合氏がわざと使っているのは、おそらく英語でhear とlistenの違いのように、単に耳に入るのではなく、よく理解する必要があるということを示唆されているのだと思います。コミュニケーションがそうであるように、字面だけを追うのではなく、そうした言葉を使って、何を訴えようとしているか、つまり「意味」を汲み取らなければならないのだということです。人を育てるということは、押し付けるということではなく、育つ環境を作ることであるとすれば、その人がどのように思い、何を感じているのかを知らなくてはならないのは当然です。

自分自身をよく知ることの大切さ

 河合隼雄氏は、さらに重要な指摘をしています。結局「聴く」ことは「自分自身をよく知ること」があって初めてできるという点です。クライエントといえども結局は他人ですから、一生懸命関心を持って聴いても完全には分からないでしょう。しかし、何か分かるとすれば、それは自分もそうした経験がある、そういうときにはどう感じるかが分かっている、ということ、つまり「共感」を通じてなのでしょう。

コメント1件コメント/レビュー

ありがとうございます。ビジネスはもとより、人生全般に通じるお話ですね。(2013/03/07)

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「「自分と向き合うこと」が「人を育てること」の出発点」の著者

清水 勝彦

清水 勝彦(しみず・かつひこ)

慶應義塾大学大学院教授

東京大学法学部卒業。ダートマス大学エイモス・タックスクール経営学修士(MBA)、テキサスA&M大学経営学博士(Ph.D)。戦略系コンサルティング会社のコーポレィトディレクションを経て研究者に。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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ありがとうございます。ビジネスはもとより、人生全般に通じるお話ですね。(2013/03/07)

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