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意思決定のスピードを決める意外な要因

スタンフォード大学 アイゼンハート教授の論文を読む【1】

2013年4月18日(木)

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取り上げるのは――Making fast strategic decisions in high-velocity environments(変化の激しい業界でスピーディーな戦略意思決定を行う)
Katheleen M. Eisenhardt(1989年 Academy of Management Journal)

 今回は、ぐっとアカデミックな論文を紹介します。「アカデミックだから、浮世離れしている」「学者の論文は実際の経営に役に立たない」という思い込みを一蹴する、レベルの高い論文です。この論文が発表されたAcademy of Management Journalは、経営学会の中でも1、2を争うトップ学術誌であるということも付け加えておきます。

 この論文は、実はある意味私の人生を変えました。1996年に前職のコンサルティング会社をやめ、6月29日に生まれたばかりの次男を含め8月に家族4人でテキサスに渡ったとき、もともとの博士課程のアプリケーションには「企業の戦略的アライアンスの研究をしたい」と書いてありました。

 実際、1994年にMBAを終えてダートマスを去る時に、教職に進むつもりはなかったのですが、戦略系の先生、例えば最近『リバースイノベーション』を上梓した、ビージェイ・ゴビンダラジャン先生(通常VGと呼ばれています)にも「アライアンスはまだまだ研究されてない余地だから研究してみれば」とはげまされ、帰国のあいさつにも「戦略的提携の研究を進めていきたい」なんて書いた記憶があるほどです。

 1年目の2学期にあった博士課程の学生向けの戦略の授業(生徒は同期のたった6人)でこの論文を読んだ時、ああ、こういう研究をしたいと心から思いました。その意味で「運命の論文」と言ってもいいかもしれません。結果として、私の博士論文は「アライアンス」ではなく(実は90代後半はアライアンスが学会での大人気テーマになります)「意思決定」に近いですが、それからさらに一歩踏み出し「意思変更」、つまり、いったん行った重要な戦略決定がうまくいかない、間違っていると分かった時に企業はどのようなきっかけで、どう軌道修正を行うかを主題としました。M&Aを行った後に売却する事例を集めて、売却しなかった事例と統計的に比較分析しながら論じたものです。

 この論文の著者であるキャシー・アイゼンハート教授(当時assistant professor)は、この論文を皮切りに、次々とケースインタビューをベースにした「定性的論文」を(博士課程の学生と共著で)一流の学術誌に発表し続けます。定量的、つまり多くのサンプルを集め、統計処理をすることが主流の(つまりより科学的であるとみなされることが多い)学会では、異彩を放っています。ちなみに、スタンフォード大学でも、彼女の所属はビジネススクールではなく、エンジニアリングスクールです。私もその著作を訳したことがあるボブ・サットンなど、組織や戦略分野で有名な教授がエンジニアリングスクールにいるというのはシリコンバレーにあるスタンフォードならではと言えるでしょう。

That’s interesting!

 昨年の10月、このコラムで2つめに取り上げたのが“That’s interesting!” (Murray Davis)という1971年の古典的な論文であったことをご記憶の方もいらっしゃると思います。この論文のポイントは「理論家が偉大といわれるのは、その理論が正しいからではなく、interestingだからだ」といい、それは「当たり前だと思っていたことにあらためて注意を向ける」さらに「新しい理論が注目を集める唯一の方法は古い真理(言い伝え、決まり文句、公理、格言、ことわざ、ありふれた常識など)を否定することだ」という点でした。

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「意思決定のスピードを決める意外な要因」の著者

清水 勝彦

清水 勝彦(しみず・かつひこ)

慶應義塾大学大学院教授

東京大学法学部卒業。ダートマス大学エイモス・タックスクール経営学修士(MBA)、テキサスA&M大学経営学博士(Ph.D)。戦略系コンサルティング会社のコーポレィトディレクションを経て研究者に。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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