新年度に入って早くも2カ月近く。リーダーとして人と組織を動かす立場になった方も多いことでしょう。多少なりともマネジメントの仕事をするようになると、使い慣れないビジネス用語を使う機会が増えるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
そのカタカナ用語、どういう意味で使っていますか?
ビジネス用語はカタカナだらけ。カタカナを多く使うとビジネスっぽいと思っている人もいそうです。しかし「その言葉をどんな意味で使っているの?」と改めて問われると、「うっ」と答えに詰まることも多いのでは?
カタカナ用語として、日本人同士で話をする時に使っているうちは、「勘違いした者同士」で大きな問題につながることはないかもしれません。しかし、外国人の上司や部下、外国企業の取引先と英語でやり取りするようになるとどうでしょう。言葉はニュアンスが大事。間違った解釈で言葉を使うわけにはいきません。
例えば「私はナイーブです」なんて自己紹介は、誤解を招くもとです。英語のnaiveのニュアンスは「世間知らず・単純・馬鹿」だからです。
ビジネスのカタカナ用語で、そんなふうに本来の意味やニュアンスとは違う使い方をしていることがありませんか?――。そんな問題意識もあって、ビジネス用語として使われる英単語を集めて『ビジネスマンの知的資産としてのMBA単語帳』(略称『MBA単語帳』)という本を2012年の秋に出版しました。
このコラムでは、この本の中から、リーダーに「本当の意味」を理解してほしい言葉をピックアップして、その意味について説明していきます。似て非なる言葉同士の微妙なニュアンスの違いを理解してもらえるように、いくつかの言葉を「組み合わせ」の形で紹介していきます。
第1回目は、「イノベーション(innovation)」と「インベンション(invention)」です。
イノベーションという言葉は、今では多くのビジネスパーソンが当たり前のように使っています。スタートアップ(ベンチャー企業)から大企業まで、経営トップから新入社員まで、みんな心の中で「自分もイノベーションを起こしたい」と、ひそかに思っているのではないでしょうか。
イノベーションは、世界を変えてしまうほど異なることを意味し、通常使われる訳は「革新」です。ジョセフ・シュンペーターの『経済発展の理論―企業者利潤・資本・信用・利子および景気の回転に関する一研究〈上〉』(1911年)において、経済学の言葉として定義され、広まりました。「新機軸」とも訳されます。
このイノベーションという言葉を理解するために、カタカナにすると何とも紛らわしいインベンションを取り上げて比較してみたいと思います。
私は、日本人はインベンションよりイノベーションが得意であると思います。新たな発想や一からアイディアを出して物を作り上げるより、著者が書かれているように、「改善」が得意だからです。効率よく、もっと便利にするにはどうしたら良いか、と修正していく能力が高いように思います。日本の電化製品をはじめとして、日本製の製品が優れている点は使いやすいからです。
子供達が遊んでいる姿を見ても、西洋人達は次々に新しい事を始め、とてもクリエイティブです。対して日本人の子供達は同じ目的の遊びを、次はこうしよう、と発展させて楽しんでいます。
著者の「日本人はインベンション上手」という言葉を読み、私個人の考えを書かせて頂きました。(2017/02/13 12:33)