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ストラテジーとタクティクス:仕事ができる人に大切なのはどっち?

2013年6月18日(火)

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 このコラムでは、ビジネスリーダーに「本当の意味」を理解してほしいビジネス用語ついて解説していきます。拙著『ビジネスマンの知的資産としてのMBA単語帳』(略称『MBA単語帳』)に掲載した言葉の中から、毎回2つか3つの言葉をピックアップして解説し、「組み合わせ」の形で紹介していきます。

 2回目の今回は、タクティクス(tactics)とストラテジー(strategy)。漢字では戦術と戦略。「それって何ですか」と日本人に聞くと、「戦い方」とか「勝つための方策」といった言葉が返ってきます。確かに、どちらも「戦」という漢字が入っていますから「戦うこと」に関係すると思うのは当然。でも、本当にそのニュアンスでいいのでしょうか?

「ワラライ」って何のこと?

 私自身、英語が自分の言葉になったと感じられるようになったのは、仕事で英語を使ってずいぶん時間がたってからのことです。

 そのピークは早稲田大学ビジネススクールのシンガポールにおけるプログラムの責任者になった時でした。ただでさえ難しい英語での授業を「アウェー」で行ったり、現地関係者とのハードな折衝をしたりして、苦労の連続。朝起きると家族に「英語で寝言を言ってたわよ」。そんな修羅場の経験を経てやっと英語の世界に「入り込む」ことができた気がしました。

 その前には、外資系の会社で人事部長として勤務していました。イギリス人の日本法人トップから「このタクティクスをワラライで成し遂げるように」と指示されて、「ワラライって何?」と考え込んでしまった経験もあります。後になって、「ワラライ」と聞こえた言葉はウォータータイト(watertight)だったと分かりました。時計や携帯電話の場合には「防水」という意味になります。

 戦術が防水――??。最初は全く意味不明でしたが、そのうちタクティクスをウォータータイトで行うとは、「水も漏らさぬように」「手抜かりなく」遂行するということらしいと分かってきました。そして、その時に初めて私には「タクティクスとは何か」がストンと腑に落ちたのです。

 それでは、読者の皆さんに質問です。私が「ワラライ」で成し遂げるように命じられた「タクティクス」は、日本語にすると、どういう意味でしょうか?

 タクティクスの最も一般的な訳語は「戦術」ですが、「方策」や「策略」などの訳もあります。漢字から考えると、「戦いに勝つために策を巡らせる」といったイメージがわくのは当然です。しかし、「ワラライで」の使い方から考えると、タクティクスは必ずしも「戦う」ことだけに関わるわけではなくまた「謀りごと」のニュアンスだけというわけでもないのです。

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「ストラテジーとタクティクス:仕事ができる人に大切なのはどっち?」の著者

杉浦 正和

杉浦 正和(すぎうら・まさかず)

早稲田大学ビジネススクール教授

京都大学卒業、スタンフォード大学ビジネススクールでMBA取得。日産自動車、外資系コンサルティング会社、金融機関を経て、2008年から現職。人材・組織マネジメントを担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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