これまでに英語を話したり、聞いたリ、読んだり、書いたりした時のことを思い出してみてください。教室の中が圧倒的に多いのではないでしょうか。授業は練習の時間ですから、完璧を目指します。
そのせいか、実践の場でも「学習モード」のままになっている人が多いように思います。実践の場は、英語を使うとはいえ、コミュニケーションの場です。完璧である必要はありません。「コミュニケーション」の視点から英語を見直せば、ぐっと上手になります。実践ですぐに役立つコミュニケーション術を基礎編、初級編、中級編と3段階に分けてお話しします。
基礎編:リラックスすれば実力以上に話せる
ネイティブを前にすると話せなくなってしまうことがありませんか?緊張すると実力が出せなくなるものです。
ぼくがこのことを痛感したのは、米国のビジネススクールで就職面接の練習をした時でした。卒業生にできるだけいい企業に就職してもらおうと、大学は履歴書の書き方や面接の受け方を指導します。当時、ぼくは英検1級レベルに達していたはずなのに、模擬練習でほとんど何も言うことができませんでした。
いつもは、「ノリ、最近はどうしてた?」などと気軽に接してくれる就職担当官のモニカが、その時ばかりは面接本番の雰囲気を出そうと、Mr. Hayashiと呼んだからです。その上、「そちらにお座りください」と神妙な面持ちで切り出され、すっかりあがってしまいました。
電話も同様に恐怖です。こちらから掛ける場合は話せるのに、ネイティブから前ぶれもなくかかってくると、焦ってしまいます。
これとは逆に、ぼくが実力以上に英語力を発揮できたのは、大学生の頃、英語力が英検2級もおぼつかない程度の時でした。米国からやってきた学生を連れて東京案内をした際です。案内する先々の場所について前もって調べ、それを英訳しました。万事予定通りに運び、気持ちに余裕がありました。
緊張のあまり何も言えない経験をした時、後になって「あの時、ああ言えばよかったんだ」と適切な英語が思い浮かぶものです。リラックスしていれば、「ああ言えばよかった」表現が、その場で出ていたはずです。
緊張を解く呪文は「だらー」
「ネイティブを前にするとどうしても緊張しちゃうよ」という人が多いのではないでしょうか。
これについては、心への働きかけがポイントです。ぼくの場合、「にこにこ」と心の中で唱えれば笑顔がすぐに出てきます。これを応用すればよい、と考え、思いついたのが「だらー」作戦です。緊張してきたなと思ったら、「だらー」と心の中で唱えてみてください。すると、上がり気味だった肩がやや緩んで下がるのがわかりませんか?
おもしろかったです。ジョークやいたずらは打ち解けたコミュニケーションに欠かせないですよね。(2013/06/25)