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「説明」上手から「説得」上手に変わろう

説得力は英米ビジネス・エリートに学べ

2013年7月5日(金)

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 日米の企業経営者を比較して実感したのは、「英米のビジネス・エリートの説得力は格段に高い」ことです。決して高圧的に接するわけではないのに、自分の思い通りに人を動かし、ビジネスを進めていきます。日本人は説明上手なので、あと一歩のところに位置しています。あなたを説得上手に押し上げるには、「心底から主張する」という彼らのやり方を真似するのが早道です。

英米では逆境がエリートを養成する

 外資系の金融企業では、「いつクビになるかわからない」という覚悟がなければやっていけません。その時がいつ来てもいいように、定期券を買わないで、回数券で通勤している人が結構います。それでも、日本にある関連会社はまだいい方。英米にある本社の雇用環境はさらに厳しいものです。

 米国の会社に入社した初日、ぼくにあてがわれたのは大きなひとり部屋でした。その部屋が前日まで別の人の部屋だったことはすぐにわかりました。朝から何人もの社員が「トニー?」とやってきたからです。ぼくが「今日からここはぼくの部屋だと告げられました」と言うと、皆そそくさと立ち去っていきました。社内の誰もがこの時点まで解雇のことを知らなかったのです。

 机の上には白い封筒が置いてあり、
Mr. Tony Raymond
 とタイプされていました。解雇の通知でしょう。ぼくは人事部からの呼び出しを受けたのですぐに部屋を出ました。その人と顔を合わせたくなかったので、ほっとしました。

 実績が上がっていても解雇になることは稀ではありません。買収があると、被買収会社の本社機能(広報、会計、総務など)で働いていた人たちは引き継ぎが終わり次第すぐに解雇されます。

 日本語に「同期」という言葉があります。社内の紐帯を感じる良い言葉です。実は英語にはこれに相当する言葉がありません。いつ辞めさせられるかわからないのですから、同じ年度に入社したからといって連帯感が湧かないのです。

 米国企業で働いていると、厳しい環境で鍛えられると同時に、エリート特有の考え方が形成されます。それは「説得がすべて」という考え方です。

 英米人と日本人の幹部社員を比較すると、いちばん明確な違いはプレゼンテーションにあります。米国人がプレゼン上手なのは誰もが感じていることでしょう。では、その違いはどこからくるのでしょうか。それは、日本人がプレゼンテーションを「説明」だと思っているのに対して、彼らは「説得」だと考えていることです。

 説明と説得はかなり異なります。道がわからない人がいれば、教えてあげるでしょう。これは説明です。説明では対象(この場合:目的地への行き方)をできるだけわかりやすく表現することが大事です。相手の行動にまで口を出すことはしません。仮に相手が別の道を選んだとしても、それは説明者の関知すべきことではありません。

 これに対して、説得の典型例はセールスです。説得は相手の行動を促すものです。対象(この場合:自社の商品やサービス)の優れている点をわかりやすく示すことも大事ですが、自分の意図(この場合:客に買ってもらうという意図)を実現することも重要です。

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「「説明」上手から「説得」上手に変わろう」の著者

林 則行

林 則行(はやし・のりゆき)

投資家

投資家。全く英語が話せないのに資産運用のノウハウ修得のため渡米、コロンビア大学MBAにぎりぎり合格。仕事力と日本人の強みを生かすことで、社内最低の英語力ながら海外運用機関で株式運用部長。現在独立。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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安形 哲夫 ジェイテクト社長