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「書く」は英語が話せない人の味方

メッセージに気持ちをこめるのがコツ

2013年9月13日(金)

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 お礼状に自分の気持ちを込める――英米では当たり前の習慣ですが、日本人には気が重い作業です。ところが本当は、話すのが苦手な人ほどメッセージを書くことが武器になるのです。時間をかけて仕上げることが可能だからです。コツをつかめば、メッセージは自分を信頼してくれる友人や同僚を増やす強い味方になるでしょう。

ネイティブは祝電がうまくなるようにしつけられている

 ぼくの特技は結婚披露宴の司会です。カラオケでマイクを離さない人に似ているかもしれません。結婚するカップルが身近にいるのを知ると、自分から手を挙げてやらせてもらいました。何十組もの司会をやった経験から学んだことがあります。日本人が打つ祝電の質があまりにも低いことです。外国からのものと雲泥の差があります。

 司会席には目を見張るような綺麗な祝電が並びます。オルゴール付、刺繍、押し花入り、和紙、織物製といった具合です。ただし、電文はそのほとんどが「ご結婚おめでとうございます。お二人のご多幸を心よりお慶び申し上げます」の類です。読み上げる者としては「以下ほぼ同文です」と言いたくなります。

 最近では人目を引く文言の電報を打つ人がいます。「念願だったウェディング・ベル、おめでとう。いつまでもお互いの心の鐘を鳴らし続けてください」といったもの。これはNTTの例文(例文番号1082)ですから、言葉に深みはありません。誰に対しても出せる内容です。

 これに対して、外国人からのメッセージは手作りです。例文集はないから、差出人が花婿や花嫁とのエピソードを語ったものになります。ぼくが読み上げた印象深い祝電の1つは、日本支社長だったイギリス人上司が新郎の仕事ぶりを評価したものでした。「結婚おめでとう」の挨拶の後に、

 私がお客様の前で当社の強みを語る時、いつも遅くまで仕事をしている健一君の姿が思い出されて、声に力がこもりました。確かな仕事、ありがとう。

 と綴られていました。健一君が営業支援の部署で、縁の下の力持ちの仕事をしているのを称えたものでした。後日、新郎新婦が交わす会話の中で話題になるのは、こうした心のこもったメッセージだけです。台紙の美しさを口にした若いカップルに出会ったことはありません。

 ネイティブがメッセージ上手なのには理由があります。ごく普通の家庭の子供でも、幼い頃から自分でお礼状を書く習慣を身につけさせられるからです。

 ぼくはある食事会に呼ばれ、その家の5歳の女の子からThank youレターをもらったことがありました。両親のところにやって来るお客さんが好きなのでしょう。食事会に招かれたぼくがやって来るのを玄関のドアのところで待っていました。帰りには、遊びに来てくれたお礼に、Thank youの文字を画用紙いっぱいに書いて渡してくれました。あんなに大きな文字でお礼を言われると、それだけで胸が熱くなりました。

メッセージの効果はこんなにも大きい

 英米人はThank you レターをちょくちょく書きます。ビジネス上でも、個人的な知り合いにも、初めて会った際、久しぶりに会った際、会話では話が十分伝わらなかった際などに書きます。礼儀として書いているだけでなく、「会って楽しい。書いて楽しい」といったように2度楽しむ感じです。

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「「書く」は英語が話せない人の味方」の著者

林 則行

林 則行(はやし・のりゆき)

投資家

投資家。全く英語が話せないのに資産運用のノウハウ修得のため渡米、コロンビア大学MBAにぎりぎり合格。仕事力と日本人の強みを生かすことで、社内最低の英語力ながら海外運用機関で株式運用部長。現在独立。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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