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部下の成長を促す言葉

2013年9月17日(火)

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「三流には三流の輝き方がある」

 「速いロングパスができて、状況判断に優れ、ピンチを救い、チャンスをものにできる選手になりたいんです。たとえばA先輩のような」

 これは私が早大ラグビー部の監督時代、4年生のある選手が春の個人面談で語ったビジョンだ。そのビジョンは、彼のスタイルとはかけ離れていた。そもそも彼のポジションのスクラムハーフでここまでできる選手はほとんどいないし、Aさんは日本を代表する名プレーヤーだった。

ドアから入り直して君のビジョンを話してみて

 ビジョンを語った選手は、ラグビープレーヤーとしては、あくまで三流だった。それでも、1年生で入部した時点の5軍から4年生では2軍へと着実にはい上がってきた。その背景には、彼の並はずれた根性があった。チーム全体のために体を張り、大きな声で仲間を鼓舞する。そんな泥臭い頑張りで、信頼を獲得していた。

 完全に自分を見誤っているな、と私は思った。そこで、私は彼にこう言った。「今、君じゃないやつの話を聞いた気がする。もう一回、外に出て、ドアから入り直して君のビジョンを話してみて」。すると、彼はきょとんとして、私の意図もわからないままもう一度部屋に入り直した。それでも同じことを言うので、結局3回、やり直してもらった。

 そして、4度目にして「中竹さんの言いたいことがわかりました」と言った。「……すみません、僕は僕じゃない人間になろうとしていたみたいです。華麗なプレーはできないけれど、自分の持ち味である運動量と、ひたむきさで勝負していきます」。

 生まれながらにして、一流と三流がいる。そう言い切ってしまうのは、残酷に聞こえるかもしれないが、努力だけではどうにも越えられない壁が現実に存在する。もちろん、人格のことではなく、スポーツ、学問、芸術など、ある一面を切り取ったときの話だ。

 とはいえ、単純に一流の才能を持っていれば、だれでもすごい人になれるというわけではない。育て方を間違うと、その才能は開花せずに終わってしまうこともある。

 同様に、三流には三流の育て方がある。それを理解せずに、一流と同じ育て方をしたら、間違いなく機能不全を起こす。早大ラグビー部の場合、スポーツ推薦枠が少ないこともあって、一流の選手より三流の選手のほうが多かった。そうした選手には一流の人材に与えるような無謀なゴールよりも、三流らしいゴールを設定し、“らしさ”を貫かせたほうがいい結果が出る。

 突出した才能を持つわけではない普通の選手に、私はいつもこう言う。

 「三流には三流の輝き方がある」

 冒頭で紹介した選手にも、そう言った。「一流のスクラムハーフになりたいのは理解できる。でも、今まで自分の持ち味を生かして2軍まで上がってきたのに、ここで違うスタイルに転換したら、築き上げてきたものすべてを失うことになる。一流は目指さなくていい。君の持ち味を生かして、最も輝く三流になれ」

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「部下の成長を促す言葉」の著者

中竹竜二

中竹竜二(なかたけ・りゅうじ)

2006年早稲田大学ラグビー蹴球部監督に就任し、2007年度から2年連続で全国大学選手権を制覇。2010年2月退任。同年4月日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクターに就任。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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