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40年前に語られた、日本のグローバル化の課題

中根千枝『適応の条件 日本的連続の思考』(1)

2013年9月24日(火)

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今回取り上げるのは――
中根千枝『適応の条件 日本的連続の思考

 おそらく、多くの方は中根千枝氏の名前を聞かれて『タテ社会の人間関係』を想起されるものと思います。ベストセラーとなったこの本が出版されたのが1967年。その5年後に今回取り上げた『適応の条件 日本的連続の思考』がその姉妹編として出されています。

 私がこの『適応の条件』を読んだ一番の感想は「驚愕」でした。その理由を今回、皆さんと共有できればと思います。

グローバル化と日本食

 最近特に声高に叫ばれるのは、日本、日本企業、そして日本人の「グローバル化」(定義はともかく)です。実は、「日本の経済の発展、世界的な国際化の進展により、各分野における国際交流がとみに活発となり、外国人との接触は急激に増加してきている」とまえがきにある、本書のテーマも同じです。「グローバル」という言葉は出てきませんが、そのタイトル通り、日本人の「カルチュア・ショック」(通常は「カルチャーショック」とするのでしょうが、本書の表記に従います)の本質を掘り下げ、異文化への適応に対する問題提起をしています。

 日本人のカルチュア・ショックを議論するのに、著者はまず「日本食」から始めます。最近では寿司やてんぷらだけでなく、例えばラーメン、牛丼、うどんなど多くの外食チェーンが海外進出をし、失敗もありながら、成功をしている企業も多くみられます。「日本食がブーム」と聞くと、何か自分が褒められたような気になります。

 なぜ「日本食」は高い評価を得るのか? それは、味、ヘルシーといった点だけでなく、東京オリンピック決定のカギとなったともいわれる「おもてなし」、日本ならではのサービスが大きな要素になっていることは間違いありません。逆に言えば、「日本食」というのは、日本という文化に根差した「ガラパゴス商品」の典型なのです。日本という文化の中で鍛えられ、純化された結晶であるからこそ高い評価を受けるのではないでしょうか。

 翻って、「ガラパゴス」といえば携帯電話です。実は、日本の携帯電話というのはすごくて、カラーのLCD(液晶ディスプレイ)にしたのも、カメラを付けたのも、ワンセグも、電子マネーも、すべて世界初です(注1) 。しかし、現状がどうなっているかはご承知の通りです。

(注1)Marukawa, T. 2009. Why Japanese multinationals failed in the Chinese mobile phone market: a comparative study of new product development in Japan and China. Asia Pacific Business Review, 15: 411-431.

 結局、ある特定文化の制約を受け、そこにこもって純化する場合、「ニッチ」としては受け入れられるものの、「本流」とはなかなかならないということだと思います。例えば、1日3回、1週間に21回食べる食事であれば、そのうちの何回かは日本食にしようという外国人が増えたとしても、1人1台(か2台)の携帯電話を日本製にしようとする人は極めて限られているのが現状です。

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「40年前に語られた、日本のグローバル化の課題」の著者

清水 勝彦

清水 勝彦(しみず・かつひこ)

慶應義塾大学大学院教授

東京大学法学部卒業。ダートマス大学エイモス・タックスクール経営学修士(MBA)、テキサスA&M大学経営学博士(Ph.D)。戦略系コンサルティング会社のコーポレィトディレクションを経て研究者に。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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