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船乗りにとって、船に酔うのは恥ではない

中根千枝『適応の条件 日本的連続の思考』(3)

2013年10月7日(月)

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前回に引き続き取り上げるのは――
中根千枝『適応の条件 日本的連続の思考

 私が約3年前に日本に帰ってきた大きな理由の1つは、日本企業、特に成長するアジアにおける日本企業の戦略や動向を研究したいということでした。その一環として、一昨年から、あるコンサルティング会社と共同で、様々な業種にわたる日本を代表する大企業20社以上の担当役員クラスの方々に、アジア市場での状況、問題意識を主に日本でインタビューしました。

 インタビューを通じて私が一番驚いたのは、マスコミなどでかなり苦労が伝えられている企業でも、役員さんは「いろいろ試行錯誤もありますが、順調です」と答えられるケースが多かったことです。しかし、あらためて見ると、例えば成長率は現地の市場成長率にも、あるいは欧米企業の成長率にもはるかに及ばないことが多かったりしました。おそらく「当社は技術力を生かし、高付加価値で勝負しているので、現地の安い一般品と同列で議論されては困る」ということなのでしょうが、そう言っているうちに、例えば韓国企業がテレビや携帯市場を席巻してしまったのは周知の事実です。

 特に、「現地企業と価格競争はしない」と言う言葉の裏には、「俺たちはすごい。現地企業とは違う」といった、プライドがよく見てとれました。実は、その態度は1970年代から1980年代にかけ日本に進出した欧米企業のそれと同じだと、当時BCG(ボストン・コンサルティング・グループ)にいた知人は言います。「日本企業は、欧米市場に進出した時は『勉強させてもらう』という姿勢だったのに、アジアや中国には『教えてやる』という態度だ」とも。

アジアで苦労しているのに、なぜ「順調」と言ってしまうのか?

 調子は今一つなのに、「順調」と言ってしまう背後には、(投資家にポジティブな見通しを見せたいというだけでなく)「自分たちはやることをやっている」「売り上げの伸びが低いとすれば、まだ市場が理解していないからだ」といった「観念的自信」があるのではないでしょうか。中根氏は、こうも指摘をしています。

東南アジアは遅れているという大前提をたてて、日本と違う諸現象を、すべてそれで解決していこうとする。

一定のシステムのない社会というものはない。…そのシステムが第三者から見てどんなに非能率で非合理に見えても、システムに反することは、その文化に育った者には耐えられないほど不快なものである。むしろ、そのシステムを是認して、そのシステムを使ってどのように効率を高めるかを考えるべきである。

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「船乗りにとって、船に酔うのは恥ではない」の著者

清水 勝彦

清水 勝彦(しみず・かつひこ)

慶應義塾大学大学院教授

東京大学法学部卒業。ダートマス大学エイモス・タックスクール経営学修士(MBA)、テキサスA&M大学経営学博士(Ph.D)。戦略系コンサルティング会社のコーポレィトディレクションを経て研究者に。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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