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成功の反対は「チャレンジしないこと」

「リーダーとしての成長」とは何か~佐々木則夫/山本昌邦『勝つ組織』を読む

2014年2月24日(月)

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 冒頭の言葉はなでしこジャパン監督佐々木則夫氏のものです。本書は、元日本男子オリンピックチーム監督の山本氏との対談の形でつづられています。ソチオリンピックで盛り上がった後、色々な選手やチームの特集などを見て、そこにつづられたさまざまなドラマに感動された方も多いのではないかと思います。「下手な経営書を読むよりためになるな」と思われた方もいるかもしれません。

 実際私はMBAのクラスでも、時には英語の学術論文を書くときでも、スポーツや棋士、あるいは芸術家の言動を参考にすることが少なくありません。一つは、勝負という厳しい世界という意味で経営と共通するところがあるからですが、もう一つは、結局スポーツにしても、芸術あるいは経営にしても「人間とはどういうものか」を深く突き詰めることが根本にあるからだと思います。人間とはどういう生き物かが分かっていなければ、苦しみを乗り越えたり、動かしたり、満足したりさせたりということもできないと思うのです。

 佐々木監督のユニークなところは、男子の監督を務めた後で女子チームの監督に就任し、そこでの違い(「違和感」と言ってもいいかもしれません)を一生懸命考えたことではないかと感じます。「人間、変わろうと思ったら今の環境を変えなければいけない。住んでいる場所か、付き合っている人か、仕事か、あるいはその全部を変えなければ人間は変われない」などと言われることがありますが、「男子」から「女子」という付き合いの相手が大きく変わることで、これまで当たり前と思っていた1つひとつのふるまいを考え直し、より深めることができたのではないでしょうか(実はアジアに進出する日本企業にも同様のことが言えると思うのですが、この点はまた別の機会に考えたいと思います)。

「リーダー論」の本質

 本書のテーマは「リーダー論」と大きくあります(タイトルもそれっぽいです)。ただ、世の中には「リーダー論」の本がごまんとあり、しかも毎年毎年新しい本が出ることに驚いていらっしゃる方もいるのではないでしょうか。そうした「リーダー論」では成功したリーダーが様々な「成功の秘密」を明かしてくれているはずなのに、なぜ「決定版」がないのかと。

 そうしたかっこいいリーダーの言葉には、語尾の「と私は思う」という言葉が省略されています。結局、リーダーとは千差万別のはずで、ある才能と性格を持ったリーダーが、ある状況であることを行ったら成功したというのが本来の姿であって、それを真似したから偉大なリーダーになれるわけはありません。しかし、一方で「参考」にはなります。

 私の経験から言えば、悪いコンサルタントほどたくさんの課題を企業に提示します。あれもやれ、これもやれと。しかし、10も20も課題をあげられて、すべてに取り組み、解決できる企業は聞いたことがありません。資源が限られているのですから当然です。なのに、あるリーダーがこれがいいと言っている、また別のリーダーがこんなことを言っていると聞くと「よし、これもやってみよう」と思ってしまうことはないでしょうか? やりたいことはたくさんあるのですが、できることは限られています。やりたいことはたくさんあるとしても、その中から何をしないか、何をするか選び、それに資源を集中して初めて効果は出るのです。

 また、せっかく選んで実践しても結果が出ないという経験をしたならば、それはそれで重要です。つまり、それは向いていないのです。逆に言えば、そうした失敗を通じてでしか、本当に自分は何が得意で、何が得意でないかは分からないことは多いのです。

 その意味で、「リーダーとしての成長」とは、自分のできることとできないことを自覚し、できることを活かして組織やチームの成功に貢献することであると言えるでしょう。「リーダー育成クラス」もそうですし、あるいはMBAのクラスでも、「成長」とは何か新しいものを身につけていくことだと思っている人が多いですが、実は自分の中の不得意なもの、あるいは(できないのに)「できるだろう」「得意だ」と思っていた幻想をそぎ落とし、本当の自分を見つけ、研ぎ澄ますことだと私は考えています。

 もう6~7年も前のことになりますが、前職のコンサルティング会社(コーポレイトディレクション=CDI)から依頼され、後輩への言葉としてこんなことを書いたことがあります。

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「成功の反対は「チャレンジしないこと」」の著者

清水 勝彦

清水 勝彦(しみず・かつひこ)

慶應義塾大学大学院教授

東京大学法学部卒業。ダートマス大学エイモス・タックスクール経営学修士(MBA)、テキサスA&M大学経営学博士(Ph.D)。戦略系コンサルティング会社のコーポレィトディレクションを経て研究者に。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長