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「現実」を正しく理解して初めて「答え」に近づける

組織の不合理さを説明する制度派理論の示唆(下)

2014年4月14日(月)

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前回に続いて取り上げるのは――

Meyer, J. & Rowan, B. 1977. Institutionalized organizations: Formal structure as myth and ceremony. American Journal of Sociology, 83(2): 340-363.
DiMaggio, P.J. & Powell, W.W. 1983. The iron cage revisited: Institutional isomorphism and collective rationality in organizational fields. American Sociological Review. 48: 147-160.

 2つの古典的論文のポイントを乱暴にまとめると、次の3点になります。

  1. 組織は理不尽である――組織は、社会的な通説、神話を取り込むことによって「正当性」「資源の獲得」をする必要があり、必ずしも効率性、合理性だけで動いているわけではない

  2. 組織は本音と建前を使い分ける――社会的な正当性を確保しながら一方で効率面でも業績を上げるために、decouplingが起きる

  3. 組織は信頼で成り立つ――本音と建前の使い分け=decoupling が成り立つためには、組織内、そして組織と外部のステークホルダーとの間に「自信と誠実の論理 (the logic of confidence and good faith)」が成り立たなくてはならない

「理由のある理不尽」と「理由のない理不尽」

 まず最初の「1.組織の理不尽さ」を考えると、3つの示唆があると思います。

 1つ目は新入社員、あるいは若手の社員が「うちの会社は理不尽だ」「俺がこんなに頑張ってるのに評価されない」なんて言っていると、多くの場合周りの人たちは(実際にどう言うかは別にして)「バカじゃないの」っていうことになるということです。それに気づかないと「こんな会社辞めてやる」っていうことになるわけですが、おそらく、会社を代わっても同じことが起きるはずです。「うちの会社は理不尽だ」と感じることは、ある意味社会人としてやっと出発点に立ったということで、そこで思考停止になってはいけないのです。なぜそうなのか、どの点が、どのような条件だとそうなるのか、「うちの会社は理不尽だ」の次を考えることが、組織の仕組みを本当に理解するために役に立つはずです。

 2つ目は上司、あるいは経営に携わっている経験豊富な社会人は「そうそう、組織は理不尽だ」ということでうなずいていただけると思うのですが、実はそこにも大きな落とし穴があるということです。論文が指摘するように「通説」なので、その形態、施策をとるということはあるのですが、知らないうちに何でもかんでも他社のやることは取り入れ、全く不要になってもそのまま残し、結果として「理由があって理不尽」な場合も「ただ理不尽」な場合もごっちゃになって存在する組織が多いのです。もし、若手社員が飲み屋で絡んできたら(最近はそういうことも少ないという話も耳にしますが、そんなことをしたらいけないと若手は思っているという「神話」が広がっているだけかもしれません)、実は「これは本当に理由のある理不尽か」をみずからに問う良いチャンスではないでしょうか?

 昨年12月に「小中学校の健康診断で過去75年以上座高を測ってきたが、実は全く意味がなかった」という新聞記事を見て驚いた方も多いでしょう。組織の中での理不尽とはそういうものです。はじめは「理不尽」と思う、でもいつの間にか当然になり、疑問も持たなくなるのです。

難しいから差別化につながる

 3つ目を挙げれば、これはむしろ経営者に対してなのですが、社会の仕組みや通説のプレッシャーの強さについてということです。従って、ある意味競争相手と「同質化」するのも仕方のないところはあるのです。しかし、それは「レッドオーシャン」への入り口であることも知らねばなりません。他社との差別化を図りたい、しかしそんなことをしたら規制官庁からもにらまれるかもしれないし、流通も協力してくれないかもしれないし、あるいは顧客だって本当に評価してくれるかどうか怪しいものだ…。しかし、差別化するというのはそういうことなのです。ヤマト運輸の小倉昌男氏、ダイエーの中内㓛氏、あるいはドットコムバブルを生き抜いた米アマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾス氏は、それぞれ規制、慣習、あるいはアナリストの懐疑を乗り越えてきたのです。

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「「現実」を正しく理解して初めて「答え」に近づける」の著者

清水 勝彦

清水 勝彦(しみず・かつひこ)

慶應義塾大学大学院教授

東京大学法学部卒業。ダートマス大学エイモス・タックスクール経営学修士(MBA)、テキサスA&M大学経営学博士(Ph.D)。戦略系コンサルティング会社のコーポレィトディレクションを経て研究者に。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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