• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

競争優位には賞味期限がある

第1回 不確実な環境、打破する戦略(上)

  • 慶応義塾大学ビジネス・スクール

バックナンバー

2014年6月5日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 慶応義塾大学ビジネス・スクールは2013年からビジネスパーソンを対象とした「公開講座シリーズ」を開催している。最先端の経営学研究の成果を一般に公開し、様々なビジネスシーンで生じる課題の解決に役立てる視点を提供するのが狙いだ。2年目となる今年は12月までに全7回の講座を開く予定。日経ビジネスオンラインではその講座の一部を紹介していく。

 5月21日、慶応義塾大学日吉キャンパスで第1回目の公開講座が開かれた。登壇したのは、経営戦略とグローバルマネジメントを専門とする磯辺剛彦教授。「不確実な環境、打破する戦略」をテーマに、2時間にわたって講義。製品や企業の優位性が短期間で大きく入れ替わる中、企業はどのような競争戦略を構築すべきなのか、その考え方を説明し、日本企業復活のヒントを示した。そのエッセンスを3回にわたって紹介する。

 初回は、環境の変化に伴って企業の立ち位置が大きく変わり得ること、そして、その中で勝ち残るために戦略構築が重要なことを説明する。 

(構成は小林佳代=ライター/エディター)

 現代は環境の変化が激しい、不確実性の高い時代だと言われます。そして多くの産業が成長期を終え、成熟期に入っています。こうした中で企業が成長していくには、イノベーションを起こす戦略を構築することが重要です。

 ここにポケットチーフがあります。石川県七尾市に本社を置く中堅企業・天池合繊という会社が製造する「天女の羽衣」というブランドの衣料用織物で作ったチーフです。人間の髪の毛の5分の1ほどの細さの糸でできており、最軽量のもので1平方メートル当たり5グラムほど。普通の布はある高さから落とすと、その布の重みですぐに落ちてしまいますが、天女の羽衣はティッシュペーパーと同じようなスピードで、ゆらりゆらりと落ちてきます。

 舞台上で使うと、まさに天に羽ばたいているように見えることから、パリのオペラ座で上演するミュージカルの衣装などに採用されています。ミラノコレクション、パリコレクションなども常連で、アルマーニやディオールをはじめとする世界の超一流ブランドが注目する世界で最も薄い衣料用織物は、今までになかったデザインや表現を可能にします。オンリーワンの商品なので価格交渉に陥ることはないわけですね。

 繊維産業はコモディティー化していて、成熟産業、衰退産業ととらえられています。天池合繊の事例は、成熟した市場の中でもイノベーションを起こし、差別化することで、成長性の高いビジネスに育てることができることを証明しています。

 企業は自社を取り巻く環境をどのようにとらえ、イノベーションを起こす戦略をどのように講じていくべきなのか。この講座では、そのような内容を論じていきたいと思います。

磯辺 剛彦(いそべ・たけひこ)氏
慶応義塾大学大学院経営管理研究科(慶応義塾大学ビジネス・スクール)教授。1981年慶応義塾大学経済学部卒業後、井筒屋入社。91年慶応義塾大学経営学修士、96年博士を取得。流通科学大学商学部助教授、同教授を経て、2005年神戸大学経済経営研究所教授。2007年から現職。専門は経営戦略と国際経営(写真:陶山 勉、以下同)

 最初に、2つの新聞記事を紹介しましょう。どちらも「日本経済新聞」の1面に掲載されたもので、企業の業績について論じています。1つは2010年1月23日の記事。2010年3月期の決算で、日産自動車やコマツが連結営業利益の4~5割を中国で稼ぐ予想となっていることを受け、「中国事業が稼ぎ頭に」というタイトルがついています。

 もう1つは2012年10月30日の記事。中国の景気減速や反日デモを背景に収益見通しを引き下げる企業が相次いだことを受け、「中国リスク 収益圧迫」というタイトルになっています。

 中国で頑張っているから業績が良くなった。中国で頑張っているから業績が悪くなった――。やっていることは同じでも、結果は正反対です。この事実から分かるのは、ビジネスにおいて、機会と脅威、チャンスとリスクは表裏一体であるということ。ある時にはチャンスになることも、ある時にはリスクになる。

 環境というのは、使い方によってチャンスにもなるし、リスクにもなるということです。「こういう環境だから、こういう結果になった」というのは正確な表現ではない。今ある環境の中でどういう戦略を構築していくかが重要なのです。

コメント0

「慶応ビジネス・スクール エッセンシャルズ」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック