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攻撃は最大の防御

スタートアップに見る「経営の原点」

2014年7月14日(月)

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今回取り上げるのは――
Randall Stross 2012. The Launch Pad: Inside Y Combinator, Silicon Valley's Most Excusive School for Startups. (邦訳:『Yコンビネーター』、2013年日経BP社)

 Yコンビネーター(YC)というのは、ベンチャーのインキュベーター組織です。ベンチャーに出資するのは、ベンチャーキャピタル(VC)あるいはエンジェル投資家も同じですが、根本的な違いは、YCが定期的に、多数のスタートアップに対し同時に投資とアドバイスを行う点です。原題にあるように「学校」のようなものです。私がこの組織(そして本書)のことを知ったのはエコノミスト誌の“ A Cambrian moment ”(2014年1/18号)という記事がきっかけです。ちなみに、ここを卒業して大成功を収めている会社の例として、日本経済新聞でも取り上げられた(2014年6月17日朝刊)、世界中で旅行者と個人の空き部屋を仲介する米Airbnb(エアビーアンドビー)があります。

大企業の経営層にも示唆に富むスタートアップの視点

 本書は、2011年にこの「学校」に入るのを許された64社のスタートアップ(合格率3%)の3カ月を内側から取材したものです。シリコンバレーとか、ハッカーとか、あるいはスタートアップというと、ちょっと自分とは違う世界ではないかと感じる方も多いかもしれません。しかし、例えば前々回にご紹介した「リーンスタートアップ」あるいは本書を読んで、実は「スタートアップ」というのは、事業を行うことの本質が容赦なく問われる局面なのだと痛感するのです。

 日本企業がアジアで本当に勝ち残っていくためには、日本では「なんとなく」できていた経営を再考し、自社の本当の強みをもう一度きちんと認識する必要があると書いたことがありますが、スタートアップも同じことだと思うのです。例えば、少しくらい赤字が出ても資産があるから大丈夫とか、それほど良い商品でなくてもこれまで築いてきた流通チャネルを通してそこそこ売れるとかいうことが起こらない、許されないのがスタートアップです。逆に言えば、そうしたスタートアップの視点に戻ってみることで、大企業の経営に携わる人々にもいろいろな示唆があると思うのです。

 一例をあげれば次のような指摘です。

スタートアップではやるべきことは毎日無数にある。…しかし毎週成長目標を決めたら、その目標を達成するのにどうしても必要な仕事はどれとどれなのか、適切な時間の使い方を必死で考え抜く必要がある。新機能の開発に3週間かける前に自問すべきだ。この作業は成長目標を達成するためにどうしても必要か? 3週間もかける前に、もっと簡単なバージョンを1日で書いて、ユーザーがそれを気に入るかどうか試してみるべきではないのか?…

 毎日忙しいと言いながら、本当に目標のために自分の時間の使い方、優先順位付けを必死で考えていますか? と問われれば、ギクッとする方も多いと思うのです。そもそも「明確な目標」を持っていますかという点も含めて。

 YCがどのような仕組みか、具体的にどんなことが繰り広げられているかという点は本書を読んでいただくとして、ここでは私が改めて「経営の原点」と感じた点を中心にご紹介したいと思います。

スタートアップの必要条件1:「助けて」と言えるか?

 YCという「学校」に入るには、大変厳しい競争があることは申し上げた通りです。そして、さらにもう1つのハードルは、合格したら3カ月間、シリコンバレーに引っ越さないといけないのです。最近は、ウェブもあるし、スカイプもある。そもそもそうしたテクノロジーで新しいビジネスを始めようとするのに、わざわざ引っ越すなんておかしくない? なんて思う方も多いかもしれません。しかし、創業パートナーのポール・グレアムは次のように喝破します。

ビデオチャットなんかじゃダメなんだ。スタートアップをやるというのは生易しいことではない。直に会って話し合わなくては肝心のところが伝わらない。

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「攻撃は最大の防御」の著者

清水 勝彦

清水 勝彦(しみず・かつひこ)

慶應義塾大学大学院教授

東京大学法学部卒業。ダートマス大学エイモス・タックスクール経営学修士(MBA)、テキサスA&M大学経営学博士(Ph.D)。戦略系コンサルティング会社のコーポレィトディレクションを経て研究者に。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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