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自己愛が強すぎてつまずいたソニー

第2回 Perfume、AKB、そしてきゃりーぱみゅぱみゅ(下)

  • 慶応義塾大学ビジネス・スクール

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2014年8月7日(木)

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 慶応義塾大学ビジネス・スクールは2013年からビジネスパーソンを対象とした「公開講座シリーズ」を開催している。最先端の経営学研究の成果を一般に公開し、様々なビジネスシーンで生じる課題の解決に役立てる視点を提供するのが狙いだ。2年目となる今年は12月までに全7回の講座を開く予定。日経ビジネスオンラインではその講座の一部を紹介していく。

 6月20日、慶応義塾大学三田キャンパスで第2回目の公開講座が開かれた。今回の担当講師は企業金融、行動ファイナンスなどを専門とする小幡績准教授。「Perfume、AKB、そしてきゃりーぱみゅぱみゅ ~新しい時代のファイナンス理論:KPP理論~」をテーマに講義を行った。日本を代表するポップアイドルを参考にしながら、新しい経営理論を考察する。

 第2回の今回はシャープ、パナソニック、ソニーの電機メーカー3社がつまずいた理由を分析。ここから、日本企業に欠けているものをあぶり出す。

(構成は小林佳代=ライター/エディター)

小幡績(おばた・せき)氏
慶応義塾大学大学院経営管理研究科(慶応義塾大学ビジネス・スクール)准教授。1967年生まれ。92年3月東京大学経済学部卒業、同年4月大蔵省(現財務省)入省、99年退職。99~2001年ハーバード大学。2001年ハーバード大学にて経済学博士を取得。2003年から現職。(写真:陶山勉、以下同)

 日本では、アイドルも政治や経営のリーダーでもトップダウンアプローチは受け入れられないという話をしました。では、日本のアイドルに必要なことはなんでしょうか。

 それは愛されるということです。日本では「愛」がすべてなのです。

 歌がうまくないとか、可愛くないとか、アイドルの世界を知らない方は、日本のポップアイドルについて不思議がります。しかし、「愛」こそが本質であって、可愛いとか歌がうまいとかは、「愛」が生まれる一つのきっかけに過ぎず、それは本質ではないのです。ファンたちは「愛」の対象を求めているのであり、それは恋愛そのものであり、より人間の本質に近いことなのです。

 Perfumeの素晴らしさは、「愛」を生み出したことです。ファンは、Perfumeを心の底から愛しています。その意味で、濃い(恋)愛によるファンなのです。Perfumeは、偶然が重なり、ここまで成長してきました。それがファンの愛を生み出し、深めてきたのです。愛の創造、これがPerfumeの本質です。

 一方、AKB48がこれだけファンを集め、ビジネスとして成功した理由は、「愛」を刈り取る仕組みが優れているからです。握手会も総選挙も、本質は、劇場で「会える」アイドルというコンセプトの延長線上で「愛」を刺激するモデルですが、それと同時に、この生まれた「愛」を刈り取る仕組みがよくできているということです。ただ刈り取るだけでは駄目です。愛を生み出し、膨らます、それと同時にビジネスとして「刈り取る」。これが一体化しているところが優れているのです。

 そして、きゃりーぱみゅぱみゅは「愛」を「表現する」、これに秀でたアイドルです。だからこそ日本だけでなく世界で人気が出る。独特の個性、日本独自であり、きゃりー独自のものを持っており、それを一見して分かるような形に昇華させている。きゃりーを愛したいと思う人が、きゃりーというモノを一目で理解できるようにしてあるところがすごいのです。それは単なるコンテンツではなく、あえて言えば、日本への愛や、ある独特の面白さへの愛を形にした、コンテンツを超えたコンテンツなのです。

自然に育つ「有機栽培プロセス」が成功した

 もう少し詳しく見てみましょう。Perfumeは戦略がなかったからこそファンの中で一体感が醸成されて盛り上がりました。事務所がマーケティングとして仕掛けたものはうまくいかず、失敗の連続でした。一方、その中で、本人たちが苦労したこと、そのこと自体が血となり肉となって今があります。じっくり、自然に育ち、化学肥料も与えられていない「有機栽培プロセス」と私は呼んでいます。有機栽培は土地、環境全てが一体とならなければ成立しませんが、ファン、スタッフ、そして本人たち、彼らが全て一体となって、コミュニティーとなり、一体として、育ってきました。

 これは一体なのですが、同時に、偶然の奇跡でもあるのです。誰も現在のPerfumeを想像していなかった。広島のライブに行った時に分かったことは、地元広島には、熱狂的なファンはむしろ少ないということです。彼女たちは、広島弁でしゃべり続け、広島といえば今やPerfumeというくらいなのですが、地元の人たちはファンではない。聞いてみると、「このPerfumeって、あのPerfume?」という反応なのです。広島では誰もが彼女たちを知っている。小学生の頃から、そして中学生時代に、スーパーで本屋で、そこいらでいつも歌っていた子供たち。そういう印象が強すぎて、今のカッコイイPerfumeが自分たちの知っているPerfumeと同じとは思えないのです。それほど奇跡的だったのです。事務所も、もちろん本人たちもびっくりなのです。

 これは、陶器の世界と同じです。備前焼のような焼き物は、名人が1万個つくったとしても、傑作となるのは1つ出るかでないか。誰にも予測できないのです。生み出される色や模様は土と火と煙が生み出す奇跡なのです。名人でも自分の作品がどうなるか分からない。精魂込めて作りますが、最後は、そして全ては奇跡を待つしかない。全力を尽くさなければ絶対にいいものはできませんが、全力を尽くしても、いいものが出来るとは限らない。人事を尽くして天命を待つ。まさにそうです。

 結果として生まれてきた、意図せざる色や模様こそが美しい。あくまでも偶然の産物だからこそ美しい。意図せず、素晴らしいものができること、これを私は「窯変理論」と名付けています。Perfumeはこの窯変理論そのものなのです。

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