• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

利益を第一目的にした組織が失うもの

マネジメントとは何か(後)

2014年8月11日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

【登場人物】紹介

老教授
米国の大学院でドラッカーの教え子として直接指導を受け、その後長くドラッカーの同僚でもあった日本人老教授。専門は組織マネジメント論と組織イノベーション論。数年前に定年退職し、静かに日本で暮らしている。執筆の傍ら若き経営者やマネジャーを自宅に招き、相談に乗っている。対話を通じてドラッカーのマネジメント理論を分かりやすく教え諭し、マネジャー本人に気づきを与えるスタイルが、多くの経営者の間で密かに支持されている。

悩めるマネジャー
大手企業の40歳代管理職。将来を嘱望され、トントン拍子で昇進してきたが、突如300名規模の地域事業本部の責任者に任命される。都会の洗練されたオフィス環境から一転、地方の事業所を拠点に、組織の舵取りをする中で、部下とのコミュニケーションやトラブルの対応、社内で発生する様々な問題に日々頭を悩ませている。ドラッカーのマネジメント論に関心はあったものの、じっくりと書籍を読んだことはない。知人から老教授を紹介され、月1~2回の東京本社への出張のタイミングで、教授の書斎に相談に訪れるようになった。

(前回の相談内容「管理職の仕事を勘違いしていませんか」はこちらから)

マネジャー:先生、先日はありがとうございました。教えていただいたことを、この1カ月間現場で実践してみました。手応えは感じているものの、新たな疑問や葛藤も生まれています。その辺りをまたじっくりお話しさせていただきたく、参りました。

老教授:ようこそいらっしゃいました。「人を活かして成果をあげる」マネジメント原則を実践してどのように感じたか、まずは率直にお聞かせください。

マネジャー:ありがとうございます。あの後、直属の部下たちとじっくり対話をする時間を持ちました。1人ひとりとゆっくり面談をし、話が終わらない場合は、何人かで食事をとりながら意見交換しました。この1カ月間は、本当に多くの時間をコミュニケーションに費やした気がします。話を聞く中で、部下たちも組織の現状に強い危機感を抱いていることがよく分かりました。問題意識や危機感を持っていても、上長たる私自身が常にピリピリしているので、なかなかその意見を出すことができなかったようです。

老教授:今回あなたが「人」として部下と対話をしたことで、部下の方々も「人として、本音で」解決の行動に参加する準備ができたのではないでしょうか。

マネジャーとは、権限や肩書きではない

マネジャー:そうかもしれません。部下たちとゆっくり話し、組織の喫緊の問題については、彼/彼女らが自ら「管理ルール」を整えていくことを約束してくれました。また、営業やマーケティングに関することも、意見を深く聞いてみると、私の想像以上に面白いアイデアをたくさん持っていました。それぞれの部下の個性や強みに言及しながら話題を向けていくと、驚くほどいろいろなアイデアが出てくるものですね。

老教授:前回もお話ししましたが、強みにフォーカスがあたると、人は「創造的になろう」という意識が高まるものです。

マネジャー:本当にそうなのですね。まずは部下たちで計画を練り込んでもらうことになりました。現場のことは私よりも部下の方が分かっているので彼/彼女らを信じて任せる方が的確な案が生まれると思います。考えてみれば、当たり前なのですが。

老教授: ドラッカーはこう言っています。

「マネージャーを見分ける基準は命令する権限ではない。貢献する責任である。権限の組織化ではなく、責任の組織化こそが経営(マネジメント)の仕事である。」 (「マネジメント」より)

 命令する権限を持たなくとも、それぞれが「組織の成果に貢献しよう」と思うことができれば、個々人が「マネジャー」としての機能を分担していることになります。命令する権限で管理するのではなく、個々人が「責任の意識」を共有できる組織にすることがマネジメントの仕事においては重要です。ここでいう「責任」とは、「責任をとれ」という意味ではなく、主体的に「やってみよう」「こう改善してみよう」と思うマインドのことですね。

コメント3件コメント/レビュー

若手の将来像をきちんと聞くことが、組織の健全な成長の近道だと思います。(2014/08/11)

「対話で探るドラッカー経営学の本質」のバックナンバー

一覧

「利益を第一目的にした組織が失うもの」の著者

藤田 勝利

藤田 勝利(ふじた・かつとし)

経営教育事業家/コンサルタント

1996年上智大学経済学部卒業後、商社勤務などを経て、2004年、米クレアモント大学のビジネススクール(通称ドラッカー・スクール)で経営学修士号を取得。現在はリーダー育成とコンサルティング/コーチングを融合した独自の経営教育事業を手がける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

若手の将来像をきちんと聞くことが、組織の健全な成長の近道だと思います。(2014/08/11)

企業は一人の人間で運営できるはずもなく、組織や他人の力を必要とします。これを実現するシステムが職制であり、末端に至るまで権限と責任が定められます。ただし、マネージャーは何が違うかというと、そこに一定の(自由)裁量が認められることではないでしょうか。これをベクトルの合成で捉えると分かりやすい。企業の力は構成員(組織)のベクトルの総和です。ただし個々のベクトルは必ずしも向きや大きさが揃ってはいない。企業ベクトルを最大にするには個々のベクトルを大きくするか(動機づけ、育成)、方向のバラつきを小さくする(目標の理解と共通化)しかなく、これがマネジメントの柱でしょう。ただし、「利益を第一目的」に全てを揃えようとすると経済環境の変化で企業の針路が変更したときの弾力性に欠け、また、目標を狭くすることでやる気を失うようにベクトルの大きさと方向は時にトレードオフになることもある、そこで一定範囲の裁量の中でバラつきに目をつぶることも大事で、実はこれがマネージャーとして特徴的なそして一番忍耐のいる仕事ではないかと思います。(2014/08/11)

ここ最近の悩みは「自分でやった方が早い」どころの話ではなく、「やらせない方が早い」若手が少なからず居ることです。位置から十まで教えることは当たり前で、そのうえでまだ忘れたり、勘違いをしたりが多発します。よく言う外国人には阿吽は通じないと言いますが、かつて中国で働いてた時の現地ローカルの部下よりも話が通じません。同じ日本人なのにです。これなら本当に中国の若いヤツラの方がはるかに使えました。このような若手にはどのように対処するのが良いのでしょう?どのようにこのような者達のチームをマネジメントすればよいのでしょうか?本当に冒頭に書いたように、彼らにはただ椅子に黙って座っててもらった方が足手まといにならずに捗ります。(2014/08/11)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

日本の経営者は、経験を積んだ事業なら 失敗しないと思い込む傾向がある。

三品 和広 神戸大学教授