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利益を第一目的にした組織が失うもの

マネジメントとは何か(後)

2014年8月11日(月)

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【登場人物】紹介

老教授
米国の大学院でドラッカーの教え子として直接指導を受け、その後長くドラッカーの同僚でもあった日本人老教授。専門は組織マネジメント論と組織イノベーション論。数年前に定年退職し、静かに日本で暮らしている。執筆の傍ら若き経営者やマネジャーを自宅に招き、相談に乗っている。対話を通じてドラッカーのマネジメント理論を分かりやすく教え諭し、マネジャー本人に気づきを与えるスタイルが、多くの経営者の間で密かに支持されている。

悩めるマネジャー
大手企業の40歳代管理職。将来を嘱望され、トントン拍子で昇進してきたが、突如300名規模の地域事業本部の責任者に任命される。都会の洗練されたオフィス環境から一転、地方の事業所を拠点に、組織の舵取りをする中で、部下とのコミュニケーションやトラブルの対応、社内で発生する様々な問題に日々頭を悩ませている。ドラッカーのマネジメント論に関心はあったものの、じっくりと書籍を読んだことはない。知人から老教授を紹介され、月1~2回の東京本社への出張のタイミングで、教授の書斎に相談に訪れるようになった。

(前回の相談内容「管理職の仕事を勘違いしていませんか」はこちらから)

マネジャー:先生、先日はありがとうございました。教えていただいたことを、この1カ月間現場で実践してみました。手応えは感じているものの、新たな疑問や葛藤も生まれています。その辺りをまたじっくりお話しさせていただきたく、参りました。

老教授:ようこそいらっしゃいました。「人を活かして成果をあげる」マネジメント原則を実践してどのように感じたか、まずは率直にお聞かせください。

マネジャー:ありがとうございます。あの後、直属の部下たちとじっくり対話をする時間を持ちました。1人ひとりとゆっくり面談をし、話が終わらない場合は、何人かで食事をとりながら意見交換しました。この1カ月間は、本当に多くの時間をコミュニケーションに費やした気がします。話を聞く中で、部下たちも組織の現状に強い危機感を抱いていることがよく分かりました。問題意識や危機感を持っていても、上長たる私自身が常にピリピリしているので、なかなかその意見を出すことができなかったようです。

老教授:今回あなたが「人」として部下と対話をしたことで、部下の方々も「人として、本音で」解決の行動に参加する準備ができたのではないでしょうか。

マネジャーとは、権限や肩書きではない

マネジャー:そうかもしれません。部下たちとゆっくり話し、組織の喫緊の問題については、彼/彼女らが自ら「管理ルール」を整えていくことを約束してくれました。また、営業やマーケティングに関することも、意見を深く聞いてみると、私の想像以上に面白いアイデアをたくさん持っていました。それぞれの部下の個性や強みに言及しながら話題を向けていくと、驚くほどいろいろなアイデアが出てくるものですね。

老教授:前回もお話ししましたが、強みにフォーカスがあたると、人は「創造的になろう」という意識が高まるものです。

マネジャー:本当にそうなのですね。まずは部下たちで計画を練り込んでもらうことになりました。現場のことは私よりも部下の方が分かっているので彼/彼女らを信じて任せる方が的確な案が生まれると思います。考えてみれば、当たり前なのですが。

老教授: ドラッカーはこう言っています。

「マネージャーを見分ける基準は命令する権限ではない。貢献する責任である。権限の組織化ではなく、責任の組織化こそが経営(マネジメント)の仕事である。」 (「マネジメント」より)

 命令する権限を持たなくとも、それぞれが「組織の成果に貢献しよう」と思うことができれば、個々人が「マネジャー」としての機能を分担していることになります。命令する権限で管理するのではなく、個々人が「責任の意識」を共有できる組織にすることがマネジメントの仕事においては重要です。ここでいう「責任」とは、「責任をとれ」という意味ではなく、主体的に「やってみよう」「こう改善してみよう」と思うマインドのことですね。

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「利益を第一目的にした組織が失うもの」の著者

藤田 勝利

藤田 勝利(ふじた・かつとし)

経営コンサルタント

1996年上智大学経済学部卒業。住友商事株式会社、アクセンチュア社勤務後、2004年米ドラッカー・スクールにて経営学修士号取得。2005年よりIT系ベンチャー企業を経て2010年独立。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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