• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

守りに入っているから疲れるのだ

野村ノートの源流: データの背景にある人間組織への洞察(下)

2014年10月14日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

前回に続いて今回取り上げるのは――
野村克也『負けかたの極意』(2013年講談社)、『そなえ』(2012年大和書房)ほか

 前回のキーワードは「強みを伸ばすではなく強みを活かす」こと、そのために「自分を正しく知る」「敏感」そして「自分で気づく」ということでした。今回はさらにリーダーとしての成長についてのポイントを見ていきます。

ほめられているうちは半人前と自覚せよ

 このあたりは、前回の冒頭で申し上げたMr.K.の話とだいぶ近くなります。野村克也元監督、そしてその代表的な教え子の一人である古田敦也氏も「人間は無視・賞賛・非難の順で試される」ことを強調されています。これと関連して、「気持ちよく」の強さは持続しない、という指摘もされています。「ほめて育てる」「長所を伸ばす」ことに対するアンチテーゼです。

 「気持ちよく」プレーをすることは、野球でなくても大事なことだと思います。緊張なく、のびのびと仕事をすることで、本人の能力が十分発揮できるからです。その意味で、野村元監督もほめることが悪いとは言っていません。問題は、その効果が「長続きしない」ということです。

 思うに、「気持ちよくプレーする」ことで自分の能力の100%は発揮できるわけですが、結果として「今の能力」に満足してしまうということが起きるのだと思います。おそらく選手でも、それから経営者でも、中長期的に見て「今の力を100%発揮できる」ことと同じかそれ以上に大切なのは、「今の力」より「より大きな力」を身につけることだと思うのです。よく「comfort zone」などと言ったりしますが、自分が気持ちいい範囲では、自分の限界をやぶることは決してできません。「失敗と書いて、せいちょう(成長)と読む」という野村元監督は、それが許せないのであり、できる(可能性のある)選手ほど非難をし、「小さくまとまらないよう」に刺激を与え続けたのだと思います。

 Wall Street Journalの記事によれば、Mr.K.の最大のほめ言葉は「not bad」だったそうです。10歳の子供に「smart」とほめるよりも「hard worker」とほめたほうが、長い目で見てはるかに自信も成績も上がるというスタンフォード大学の調査もあります。

正しい努力をせよ

 野村元監督は現役時代ホームラン王を取った後の5年目、6年目にさっぱり打てなくなった経験がありました。スランプに陥り「打てないのは練習が足りない」からだと思い、以前にもましてバットを振ったにもかかわらず、全く結果が出なかった。そして「自分は間違った努力をしていたのでは…」と「気づいた」のだそうです。打てなくなった本当の理由は、練習不足ではなく、相手のバッテリーが自分のことを研究して配球をするようになったからであり、それを克服するようにしなければいけなかったのだと(壁にぶち当たって苦しまないと「気づき」はなかなか得られないということ、そしてその「気づき」が野村のデータ野球につながるという意味では、この間違った努力も重要ではあったと思いますが)。

コメント0

「MBAプラスアルファの読書術」のバックナンバー

一覧

「守りに入っているから疲れるのだ」の著者

清水 勝彦

清水 勝彦(しみず・かつひこ)

慶應義塾大学大学院教授

東京大学法学部卒業。ダートマス大学エイモス・タックスクール経営学修士(MBA)、テキサスA&M大学経営学博士(Ph.D)。戦略系コンサルティング会社のコーポレィトディレクションを経て研究者に。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

「絶対これしかありません」というプランが出てきたら、通しません。

鈴木 純 帝人社長