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お金で幸福は買えるか?

幸せを最大化させるためのお金の使い方

2015年1月29日(木)

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今回取り上げるのは――
Blackman, A. Can Money Buy Your Happiness? (Wall Street Journal, 2014 November 10)

 大変遅くなりましたが、本年もよろしくお願いいたします。2015年初めての記事ということで、通常は選ばないちょっとべたな記事、しかも新聞記事を選びました。年の初めに自分のお金と幸福に対する考え方を整理してみるのも悪くないと思います。ちなみに、この記事は日本語版でも翻訳・掲載されていたのですが、なぜか途中で切れているという、いわくつき(?)です。

 「お金で幸福は買えるか?」この古くて新しい質問は、これまでもいろいろな形で繰り返し問われてきました。比較的最近では、ブータン国王が提唱した「国民総幸福量(Gross National Happiness,=GNH)」は必ずしも国の経済的発展と比例していない、なんていう話があったと思います。

 結論から言えば、お金で幸福は買えます。ミシガン大学の研究者によるアメリカの調査では、「大変幸福」と答えている比率が、年収1万ドル(120万円)未満の場合は35%、7万5000ドルから10万ドル(1000万円前後)の場合は60%で、年収が50万ドル(6000万円)を超えるとほぼ100%です。「人生に満足していますか?」という質問に対する答えもほぼ同じです。お金があると幸福なんです(注1)。

(注1)学術的には、この結果は単なる「相関関係」で「因果関係」を証明したわけではないですが、まあまあ当たっていると考えてよいでしょう。時々、政府のデータを見て、「10年、20年前より平均年収が上がったのに幸福度が上がっていないから、お金と幸福は関係ない」ということを言う人がいますが、インフレなどを全く考慮せず平均を比べても意味がありません。お金のある人とない人と同じ状態で比べなくては。

 ただ、本記事の目玉はこれではありません(というか、これが目玉だったら記事にもなりません)。「幸福な人生」のためには、お金をどれだけ儲けるかも大事なのですが、儲かったお金をどのように使うのかがもっと重要だというのが目玉です。そのポイントは3つあり(1)モノではなくコトに使うほうが幸福感が高い、(2)自分で気ままに使うより他人の目につくように使ったほうが幸福感が高い、(3)時間も「幸福感」の重要な要素である。

 さて、それでは1つひとつを見ていきましょう。

モノではなくコトに使うほうが幸福度が高い

 ここで言う「モノ」とは、たとえば時計だったり、洋服だったり、あるいはゴルフ道具だったりですし、「コト」は、旅行やコンサートなど「経験」のことを言います。レストランでの食事や飲み会もこちらに入れてよいでしょう。一般に「コト」は終わってしまえば何も残らないのに対し、「モノ」は残りますから、そのほうがより大事だし、幸福感が長続きすると思われています。しかし、実際は違うのです。たとえば次のような調査結果があります(The Journal of Positive Psychologyの論文より)。

お金を払った価値があると思います/ましたか?
(1=全然ない、7=とてもある)

 えー、なんでー? と思うわけですが、もっともな理由があります。

 まず、「コトに使っても何も残らない」と言いましたが、これはウソです。「思い出」が残るのです。さらに言えば、旅行に行ったり、食事をしたりという「コト」は、1人でなく友人や家族と行くことも多いので「思い出を共有して盛り上がる」という楽しみもあります。欧米のビジネススクールでは「リユニオン」と称した同窓会が5年ごとにあって(慶應ビジネススクールも少し違う形で行っています)、特に区切りになる10年とか、25年とかは相当の数の卒業生が集まるのですが、そこで出る話題は「あの先生が怖かった」「あいつはこんな失敗をした」なんていう昔話ばかりです。「リユニオンに何度出ても同じ話を繰り返しているだけ」と冷めたことを言うフランス人の友人もいましたが、同じことなのに(同じことだから?)楽しいことは変わりません。そうした「忘れられない思い出」は、何十年たとうが人生に花を添え続けるのです。流行遅れになったり、壊れてしまったりする「モノ」とは違い、時間がたてばたつほど(無意識のうちに)脚色され、より価値が上がることも少なくありません。

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「お金で幸福は買えるか?」の著者

清水 勝彦

清水 勝彦(しみず・かつひこ)

慶應義塾大学大学院教授

東京大学法学部卒業。ダートマス大学エイモス・タックスクール経営学修士(MBA)、テキサスA&M大学経営学博士(Ph.D)。戦略系コンサルティング会社のコーポレィトディレクションを経て研究者に。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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