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「兄に無理やり施設に入れられた母を助けて」

「二枚舌」によるトラブル回避には後見制度を

2015年4月9日(木)

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 「兄が同居していた母を無理やり施設に入れてしまいました。先生、母を助け出して下さい」

 50代の男性Aさんは、深刻な表情で私に訴えかけました。Aさんの話によると、実家の跡を継いでいるお兄さんから「お母さんに認知症の気が出てきて手に負えなくなったので、施設に入れることにした」と告げられたそうです。

 心配になったAさんが施設を訪ねたところ、お母さんが言うには「無理やりこんな施設に入れられてしまった。頼りになるのはおまえだけだ。早く私をここから出しておくれ」とのこと。Aさんは、どうやってお母さんを助け出せばよいのか分からず、私のところに相談に来たという次第です。

すわ監禁罪?!

 Aさんの話が本当だとすれば、つまり、お兄さんが嫌がるお母さんを無理やり施設に入れてしまったのだとすれば、監禁罪という犯罪が成立します。直ちに警察に通報してお母さんの身柄を保護してもらう必要があります。

 しかしここで注意しなければいけないことがあります。果たしてお母さんには正常な判断能力があるのでしょうか? また仮に正常な判断能力があるとしても、お母さんは本心からそんなことを言ったのでしょうか? 

 私も、この相談を初めて受けたときは、相談者の切羽詰まった深刻な様子を見て、相談者の話をつい真に受けてしまい、警察に相談すべき事案ではないかと真剣に考えたこともあります。

 しかし、このような相談を度々受けるようになり、「お年寄りの言動に周りが振り回されてしまっているだけだ」ということに気づきました。

お母さんに正常な判断能力が無い場合

 仮にお母さんの認知症が相当に進行しており、お母さんが正常な判断能力を失っているとすれば、お母さんの話をそのまま真に受けるわけにはいきません。正常な判断能力を失ったお母さんの言う通りにしてしまうと、かえってお母さんに身の危険が及ぶこともあり得ます。まずはお兄さんの話をよく聞いてみることが大切です。お兄さんの判断が正しかったということが分かるかも知れません。

 もし、お兄さんの話をよく聞いても納得できなかったとすれば、家庭裁判所に後見開始の申し立てをして、弁護士など第三者の後見人を裁判所に選任してもらうべきです。そして、お母さんを施設に入れたことが正しかったか否か、お母さんにとって最も良い環境はどのようなものかということを、中立公正な立場から、後見人に判断してもらうことになります。

お母さんに正常な判断能力がある場合

 ただ、実際には、お母さんの判断能力がまったく失われてしまっているケースは、それほど多くはないでしょう。また、お母さんに正常な判断能力がある場合は、まったく話が変わってきます。判断能力がある場合は、施設に入るか否かは、お母さん自身の判断で決めるべきことになります。そして、冒頭に紹介したAさんのお母さんのようなケースでは、実は、お母さん自身も納得して施設に入ったケースがほとんどなのです。

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「「兄に無理やり施設に入れられた母を助けて」」の著者

長家 広明

長家 広明(ながや・ひろあき)

弁護士

1963年神戸市生まれ。早稲田大学法学部卒。第一東京弁護士会所属。インテグラル法律事務所パートナー弁護士 、日本弁護士連合会高齢社会対策本部委員、NPO法人 遺言・相続リーガルネットワーク事務局長

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官