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【第2回】成長力失ったNHKがすがる救世主

2006年4月10日(月)

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 埼玉県の川口駅からバスに揺られること15分。「NHKアーカイブス」と呼ばれる施設が見えてくる。NHKが過去に放送した45万本の番組と、125万項目のニュース・クリップを保存したアジア最大の映像保管施設だ。公開スペースでは一部の映像を視聴できる。

 実のところNHKアーカイブスは、ただの映像の保管庫ではない。NHKがインターネット事業への本格的な進出を果たした時に、その中枢機能を担わせることを想定した戦略拠点なのである。

 民放のテレビ各局がネット事業への展開に二の足を踏む中(第1回「アクセルとブレーキを同時に踏むテレビ局」参照)、NHKだけは虎視眈々と進出の機会をうかがっている。前回あえて触れなかった日本最大のテレビ局・NHKが描くネット戦略の全貌に迫ろう。

アーカイブスはネット化への“プロパガンダ装置”

 NHKアーカイブスを中核とするネット進出計画を推進したのは、在任中は「独裁的」などと評された海老沢勝二NHK前会長その人だ。海老沢体制の下でNHKはNHKアーカイブスの建設を進め、番組をネットで配信する技術の開発にいそしんでいた。

 想像してみてほしい。例えば、1983年から84年にかけて日本中が夢中になった連続テレビ小説「おしん」、かつては「国民的行事」とまで言われた大晦日の「紅白歌合戦」など、NHKの持つコンテンツは強力だ。こうした番組が、いつでも見たいときにネットを通じて家庭のパソコンやテレビ、あるいは携帯電話に配信されれば、コンテンツの内容や話題性からみても、「テレビのネット化」が加速する。

 NHKは本格的なネット事業が制度的に認められていない。それゆえ、NHKは折を見て、「ネットで家庭に番組を配信できれば、NHKアーカイブスにわざわざ来なくてもよくなります」、「ネットで配信できないので、多くの人にとってNHKアーカイブスの映像資産が死蔵しています」と人々に訴えた。

 「ネットを通じてNHKの番組を見られるようにするべきだ」というコンセンサスを作り上げようとしたわけである。最終的に制度改正に持ち込んで、悲願のネット進出を果たす。NHKにとってNHKアーカイブスは、ネット進出を実現させるためのプロパガンダ装置と言えるのだ。

 だが海老沢前会長は夢を実現させることなく、2005年1月に辞任に追い込まれる。一連の不祥事を機に受信料の不払いが広がったことを受けた、事実上の引責辞任だった。

 後を継いだのは、橋本元一専務理事・技師長(当時)。「商業的」との批判が根強かった海老沢路線を転換し、「公共放送への原点回帰」を進めている。だが前任者の路線を否定する橋本会長でも、海老沢前会長の残したネット進出構想を捨て去るわけにはいかなかった。

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「【第2回】成長力失ったNHKがすがる救世主」の著者

吉野 次郎

吉野 次郎(よしの・じろう)

日本経済新聞社記者

1996年、日経BPに入社。2007年から日経ビジネス編集部で電機業界や自動車業界、企業の不祥事を担当。2015年4月から日本経済新聞社電子編集部に出向中。産業、経済事件を中心に取材・執筆する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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