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若者の起業家精神を刺激した世界最高峰のヨットレース

「アメリカズカップ」を経験した若きベンチャー経営者たち(その1)

  • 宮田 秀明

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2006年4月28日(金)

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 「大学院の博士課程を続けて研究者の道を進むのか、大学を出てベンチャー企業の世界に生きるのか。どちらを選ぶか、1カ月以内に決めなさい」

 ベンチャー企業でアルバイトをしながら、博士課程の2年目に入ったA君に私はこう言い渡した。1997年の夏だった。

 A君が私の研究室に在籍した時期は、私が「ニッポンチャレンジ」というチームに関わり、世界最高峰のヨットレース「アメリカズカップ」に挑戦していた時期とちょうど重なる。私がニッポンチャレンジでの仕事を担当することになった93年、4年生だった彼が研究室に来て卒業論文の研究を始めた。

若い経営者を待ち受けるイバラの道

 A君たちの卒業論文テーマはアメリカズカップ艇の性能解析だった。彼らはパワフルで、徹夜の実験を繰り返してくれた。その後、A君が大学院に進学した。修士課程に入学してすぐの春、A君は米国サンディエゴに開設されたニッポンチャレンジのベースキャンプに派遣され、最初に建造された日本艇「J30」の性能解析を担当した。

 私は大学で「一石三鳥」を常に意識している。三鳥とは、「教育」と「研究」と「社会貢献」である。アメリカズカップで言うと、ヨットレースという文化活動に貢献しながら、IT(情報技術)とビークル工学の研究を進め、同時に学生諸君をプロジェクトに関わらせて教育効果を高めようとした。

 この結果、学生の中からベンチャー企業を起業する者が現れた。A君と同級であったB君は修士課程の時、就職活動を全くしなかった。「就職はどうするんだ」と心配して尋ねた私にB君は事もなげに言った。

「ベンチャー企業を立ち上げるから大丈夫です」

 なぜ起業を志したのかとB君に聞いてみて、彼の答えに少々驚いた。

「先生を見ていたからですよ。僕もアメリカズカップのような難しいプロジェクトに飛び込んで、世界を相手に仕事をしたいのです」

 私が率先して難しいプロジェクトに取り組んできたことが、学生をインスパイアし、起業に駆り立てたのだった。私は大変複雑な気持ちになった。もちろんうれしかったのだが、その一方でまだ若い彼らを、難しく厳しい道へ導いてしまった責任の重さを痛感していた。

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