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50歳になったコンピューター、社会貢献はこれからだ

2006年4月28日(金)

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 本格的な商用コンピュータがいつ生まれたかについては諸説あるが、1946年に米ペンシルバニア大学で作られたENIACの名前が挙がることが多い。今からちょうど60年前のことである。国産コンピューターはどうかというと、富士写真フイルムが1956年に作ったFUJICとされている。情報処理学会は先頃、「日本のコンピュータ生誕50周年記念シンポジウム」を開催した。実は、50周年を記念した催しは昨年2005年にも開かれた。東京証券取引所がUNIVAC-120と呼ぶマシンを導入したのが1955年、これがわが国における初の商用機利用であったからだ。

 多少遅れたが、今回は日本におけるコンピューター利用が50周年を迎えたことを記念し、コンピューターの可能性について書こうと考えた。考えたのだが、このところマスメディアをにぎわすのは、コンピューターウイルスだの、誤発注だの、暗い話ばかりで、明るい題材が少ない。職業柄かどうか、昨日今日明日といったあたりまでしか筆者の目が届かないからかもしれない。

 こういう時は、歴史観を持って物事を眺められる先達に学ぶに限る。こう思って、ピーター・ドラッカー氏の近著の1つ『テクノロジストの条件』(上田惇生編訳、ダイヤモンド社)を読んでみた。この本は、テクノロジーのマネジメントに関する論考を集めたもので、「理系のためのドラッカーであり、かつ文系のための技術論」(「編訳者後書き」より)となっている。

 同書の巻頭文でドラッカー氏は、次のように述べる。

「テクノロジストは、マネジメントすることを好まない。むしろ、それぞれの世界で技術や科学の仕事をするほうを好む。(中略)その結果、企業、政府機関あるいは研究所においてさえ、テクノロジストでない人たちがテクノロジストをマネジメントすることが多くなっている。(中略)私自身テクノロジストでない者の一人として70年近くも前から、テクノロジストでない人たちにテクノロジストの仕事を理解させることの重要性を意識してきた。しかもテクノロジストとマネジメントの人たちの不調和を目にしてきた」

いかにテクノロジストをマネジメントするか

 テクノロジストとは、体系的な知識に基づいて仕事をする専門職業人のこと。いわゆるエンジニアよりも広範囲な職種を含む。ドラッカー氏が挙げている例は、コンピューター技術者、ソフトウエア設計者、臨床検査技師、製造技能技術者、理学療法士、精神科ケースワーカー、歯科技工士などである。

 ドラッカー氏の巻頭文は本質的な問題提起と言える。コンピューターの世界に限ってみても、コンピューター技術者やソフトウエア設計者と、経営者や事業部門責任者との「不調和」は至る所で目につく。情報システムを開発するプロジェクトの失敗理由は100%、関係者のコミュニケーション問題と言い切れるほどだ。

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「50歳になったコンピューター、社会貢献はこれからだ」の著者

谷島 宣之

谷島 宣之(やじま・のぶゆき)

日経BPビジョナリー経営研究所

一貫してビジネスとテクノロジーの関わりについて執筆。1985年から日経コンピュータ記者、2009年1月から編集長。2013年から現職。プロジェクトマネジメント学会員、ドラッカー学会員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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