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世界一のタンカーを造り続けた改革者

MOT経営者・真藤恒の構想力(その1)

  • 宮田 秀明

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2006年5月19日(金)

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 日本電信電話(NTT)(株価) の初代社長を務めた真藤恒さんは典型的な理系の経営者だった。NTT時代の真藤さんの著書に『習って覚えて真似して捨てる』(NTT出版)がある。最近、この本を読み返しながら30年以上も前の彼とのやり取りを思い出し、真藤さんが技術を経営の価値に変える「MOT(技術経営)」を実践した経営者だったということを再確認した。

 私は1972年から5年間、石川島播磨重工業(IHI)(株価) の船舶基本設計部に勤務した。入社した年に社長に就任したのが真藤さんだった。その意味で、私は同社で真藤さんの謦咳に触れた最後の世代に属している。

反撃する隙すら与えられず

 といっても真藤さんと言葉を交わしたのは1度だけで、私が入社2年目、彼が社長2年目の終わり頃だった。72年入社組の20人が開いた同期会に真藤社長を招待した。

 「同期会は寿司屋かどこかで開きたいんですが」

 我々からのこの申し入れは総務部長に断られた。

 「真藤さんは酒を飲まない。本社の会議室でやれ」

 こうして様々な部署から集まった2年生社員と真藤社長が対面した。会が始まると、若気の至りで我々は自己紹介がてら、代わる代わる真藤さんに議論をふっかけた。

 私は「新入社員の採用数が毎年大きく変動している。もっと安定した採用をすべきです」というような趣旨の話をしたのだが、こちらがひと言話すと真藤さんからは5倍の言葉が返ってくる。なかなか「反撃」する隙を与えてもらえなかった。結局、若手社員が束になってもかなう相手ではなく、全体としては社長の放談会の様相だった。

 私はちょうど、船の全体設計をする部署から、流体力学を応用した形状設計の部署へと異動が決まったばかり。新しい部署の部長に引き抜かれたのだが、真藤さんには「自分で売り込んだのか?」と聞かれ、「船型設計で偉くなるためには水の気持ちが分かるぐらいにならないといかん」と言われた。

 この言葉は、今でも強く印象に残っている。

 社長と2年生社員の関係ではあったが、生意気にも「船舶設計、特に流体力学の応用では私の技術力が上」という自負を抱いていた。それだけに、真藤さんの「水の気持ちが分かる」という言葉は衝撃的だった。さすがに、その境地には達していなかったからである。「技術者と技術の関わり方には、自分が思い描いている以上に深いものがあるのだ」と、その深遠さに強い感銘を受けた。

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