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交通死亡事故を激減させたITツールの威力

経営に「シミュレーション」は導入できるか(その1)

  • 宮田 秀明

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2006年6月2日(金)

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 連載第3回で「経営者は優れた構想力に加えて、科学的論理性を補うツールの支援を受けるべきだ」という話を書いた(第3回の記事)。経営の世界でも、従来の統合情報システムや通常の業務システムだけでなく、新しいIT(情報技術)の利用が重要性を増すという話だ。

 その1つが「シミュレーション技術」である。今回は、この技術について考えてみたい。

コスト低減と期間短縮を進めた技術

 「シミュレーション」に対する的確な日本語はない。あえて言えば「模擬」ということになるだろうか。シミュレーションは、すべてコンピューターで計算するのが普通である。つまり、コンピューター科学の一分野だ。「物理的な事象をコンピューターの中で実験すること」という表現の方が理解しやすいかもしれない。

 シミュレーション技術は現在、多くの分野で応用されている。

 例えば、車の衝突安全ボディーの設計でシミュレーション技術を利用している。シミュレーションの代わりに、実験用の試作車を作って衝突させる実験を行うと、1台当たり5000万円近い費用と何カ月もの時間がかかる。コンピューターを用いたシミュレーションならば、何台も試作車を作ることなく短期間で実験ができる。

 だから今では開発コストの低減と開発時間の短縮のために、シミュレーションは欠かせない設計ツールになった。おまけに試作車を用いた実験と違い、コンピューターならば条件を少しずつ変えながら何度も繰り返して実験できる。

 これにより、安全な車体構造の設計が急速に進んだ。結果、自動車事故で死亡する人が、世界中で毎年2万人ずつ減っていると言われるほどだ。日本では、残念ながら歩行者である高齢者の死亡件数はあまり減っていないものの、若年層の運転者が死亡する件数は顕著に減少している(交通事故死亡者の3分の1を23歳以下が占める)。

 飛行機や船舶のように、試作が難しかったり、不可能だったりする分野では、自動車業界より先にシミュレーション技術の開発が進んだ。

 私が世界最高峰のヨットレース「アメリカズカップ」に出場するためにヨットの船体開発を始めたのは1995年のこと。その基盤となる船体のシミュレーション技術は、さらに3年先行して開発を進めていた。

 このシミュレーション技術の存在が、アメリカズカップの船体開発プロジェクトで、欧米の有力チームに対する大きな競争優位を生み出す理由の1つだった。シミュレーション技術がなかったら、単なる無謀な挑戦になっていたかもしれない。

 軍事の世界では、もっと多種多様なシミュレーションの利用法がある。

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