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深刻な治験の“空洞化”、新薬が出てこない

「遅い、高い、質が悪い」を解消するには?

  • 北澤 京子

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2006年7月19日(水)

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 「治験」という言葉をご存知だろうか。薬の候補となる物質が、ある病気に対して有効、かつ安全に使用できるかどうかを、人間(患者)を対象に調べる試験のことである。

 新薬が世に出るには、治験というプロセスを踏むことが欠かせない。しかし、ここ数年来、日本の治験のスピードが落ちていることが問題視されている。治験の停滞は、国民が新薬にアクセスできる日が遅れることに他ならないからだ。

3段階の治験で有効性や安全性を評価

 国が新薬を承認する際の仕組みについて、簡単に説明する。新薬は、試験管内での試験、動物を用いた薬物動態などの試験を経て、人間を対象とする臨床試験(この段階を治験という)を行う。

 治験では、まず健康な成人を対象に主に安全面を評価する試験(第1相試験=フェーズ1)を行い、次に少人数のボランティアを対象に用量・用法や有効性を調べる(第2相試験=フェーズ2)。

 続いては、既に広く使われている標準薬と比較をして有用性を厳密に評価する大規模な試験(第3相試験=フェーズ3)を行う。こうして得られたデータの解析から、効果と安全性が認めれた薬のみが、製薬企業から厚生労働省に申請され、審査を受け、承認を得るというプロセスで実用化される。なお、市販後も第4相臨床試験があり、安全性と有効性の確認が行われる。

承認確率は1万2888分の1 新薬へのアクセスは米国より平均2年遅れ

 日本製薬工業協会の調べでは、ある1つの新薬の候補となる化学物質が前臨床試験(臨床試験の前段階)を開始するに至る確率は2158分の1、臨床試験を開始するに至る確率は3653分の1、さらに承認を取得する確率は1万2888分の1というから、かなりの狭き門だ。そして、この新薬開発のプロセスのうちで、費用も期間もかかるのが、治験である。

 治験は1998年以降、国際的な基準である「医薬品の臨床試験の実施の基準」(GCP:Good Clinical Practice)を完全に守って行われなければならなくなった。この年前後から、それ以前に比べて患者の同意を得る手順が厳格化したことなどもあって、治験が行いにくくなっている。

 98年以後、治験届け出数は年間400件程度にとどまっており、以前に比べればかなり減少している。治験ができない、あるいは治験の開始が遅くなれば、承認が遅れるのも当然だ。

 時間もコストもかかっていることも問題。ある薬について、1症例当たりの治験費用を日・米・欧で比較したところ、米国や欧州では約2万ドルだったのに対し、日本は約5万ドルだったという報告もある(第4回北里・ハーバードシンポジウム、2003年)。

 日本の治験は、多くの施設で行われる半面、1施設当たりの症例数が少ない。これは施設間でデータのばらつきが生じる危険があり質の点でも問題なうえ、コストがかかってしまうのだ。

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