京都議定書を例にするまでもなく、地球温暖化や脱石油社会への対策は急務だ。自動車業界も各社がハイブリッドに代表される低燃費技術や代替燃料の開発を進めている。そして「究極の低公害車」として期待されているのが水素を燃料とする燃料電池車である。
ではこの燃料電池自動車が主流となる自動車社会はいつ頃訪れるのだろうか。残念ながら当面ないと言わざるを得ない。燃料電池車は次に挙げる3つの課題に直面しているからだ。
燃料である水素の製造にはエネルギーが必要
(1)コスト
燃料電池車が普及するための最難関はコストにある。現在、各社がリース販売している燃料電池車は1台数千万円から数億円と言われる。これではとても一般消費者の手に届く商品ではない。
一方、思いのほか、実用化が早そうなのが家庭用燃料電池である。家庭に供給されるガスから水素を取り出し、燃料電池に用いる。その際に出る熱でお湯を沸かす。いわゆる家庭用コージェネシステムである。これは燃料電池車よりも大規模な実証試験が既に行われている。現在、家庭用燃料電池システムは家庭用で数百万円というレベルだ。現時点では家庭用燃料電池の方が台数が多いので、自動車用燃料電池の部品を家庭用燃料電池と共通化すれば、相乗効果により燃料電池のコスト削減が進む可能性がある。
(2)水素燃料の確保
コスト以前に、どうやって水素を製造するかという問題がある。水素を燃料とした燃料電池車は確かに走行時にはCO2(二酸化炭素)を発生しない。しかし燃料である水素は自然界に十分に存在するものではないため、人工的に製造しなければならない。そのためにはエネルギーが必要である。
自然エネルギーや原子力を用いない限り、製造段階でCO2が発生してしまう。その量は一般的にはガソリンや軽油を精製するよりも多いと言われる。現在は燃料電池車の台数が限定的なので問題にならないが、可能な限りCO2を排出せずに効率よく水素を製造する方法を確立しなければ、燃料電池車は地球温暖化の解決策にならない。
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