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書籍の4割が返品される理由

顧客満足度をITで向上させるには

  • 宮田 秀明

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2006年7月28日(金)

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 最近、書籍ビジネスの研究に力を入れている。このコラムで書いている「科学的な経営」の講演をしたのがキッカケだった。その時に書籍ビジネスにかかわる方から、書籍の返本率についての話を聞いた。何と新刊書の返本率が40%にも達しそうだというのである。

 書籍ビジネスは、3000社を超える出版社、大手2社を中心とした書籍取次企業、2万店以上の書店がプレーヤーで、毎年7万5000点の書籍が出版されている。これだけでも複雑な仕組みなのだが、「再販売価格維持契約(再販制度)」という日本特有の販売システムがあり、販売店である書店から、商品の発売元である出版社への返品は、一部の例外を除いて自由である。そして、現在では40%近い返本率が常態になっているという。

 書籍ビジネスの市場規模は2兆2000億円と言われている。それだけの規模のビジネスで40%もの損失があるのは何とかしなければならない。経済的な損失だけでなく、文化的な損失もはかりしれない。だいたい「私の名著(?)はなぜ売れないのだろう」という疑問も後押しした。

規制に手足を縛られる

 米国や日本のような先進国では、サービス業がGDP(国内総生産)の60%以上を占める。1次産業、2次産業から3次産業へと産業構造が大きく変化しているというのは、多くの方が認識するところだろう。ところが、日本の製造業は全体としては十分な国際競争力を維持していて、貿易収支の黒字を支えているのに対し、サービス業の国際競争力は決して高いとは言えない。一説には、生産性が米国の6割程度しかないと言われている。

 サービス業の生産性が低い原因は大きく2つある。1つはその多くが国際競争にさらされていないため自由競争による進歩が遅く、場合によっては何重もの規制によって保護されている(手足を縛られている)ことである。

 例えば、日本のメガバンクは不良債権の処理も終わり、大きな利益を計上しているが、それは国に保護されて国内顧客をいわば独占的に囲い込んでいる結果と言うことができる。日本のメガバンクは、長い冬の時代を経験して、ようやく国際競争のスタートラインに立てるところに来たというレベルなのだ。

 もう1つの原因は、対象となる顧客が多様で複雑になったことである。B to B(企業間取引)のサービス業の多様な顧客ニーズはもとより、B to C(消費者向け取引)のサービス業ではさらに複雑な個人の顧客を相手にしなければならない。先進国のように社会が成熟度を高めるにつれて、顧客ニーズの複雑性は高まる。これは、サービス業だけでなく、製造業にも言える。例えば、家電業界では製品のライフサイクルが短くなり、サービス業に近い部分が増えてきた。

 サービス業の生産性に関する悩みを抱えるのは日本だけではない。昨年くらいから米国では、サービス業の生産性を高めるためにもっと科学とIT(情報技術)を使うべきだという趣旨の「サービスサイエンス」の重要性が主唱されている。旗振り役は、シリコンバレーにあるIBMのアルマデン研究所である。同研究所からは、サービスサイエンスについての膨大な報告書が出ている。

 もちろん、サービスサイエンスの盛り上がりは、IBMをはじめとするIT産業の宣伝広告的な側面も否定できないが、そればかりではあるまい。

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