クリス・アンダーソン著『The Long Tail』 (2006年7月11日刊)
「Web2.0」と「ロングテール」さえ覚えておけば世の中怖いものなし。米国では7月に出た書籍、その名も『The Long Tail』がやっぱり快調な売れ行きでトップセラー。ところが、「ウォールストリート・ジャーナル」のコラムニスト、リー・ゴームズ氏が7月26日付紙面で、その信憑性に疑問を投げかけた。ロングテールは過剰申告なのか?
ロングテールは大風呂敷
“ロングテール”とはご存じの通り、2004年10月にワイヤード編集長クリス・アンダーソン氏が同誌に発表した記事から生まれた言葉だ。発表直後から反響がすさまじく、右も左もロングテールなこの世の状況に「同誌始まって以来の発明語」と騒がれた。
売れない日陰の商品(tail=尻尾)も、在庫底なしのネットでなら買い手に巡り会える。日陰が束になってかかれば日なたのヒット群(head=頭)をボリュームで凌駕する時代がくる−−骨子は、CNET米国版7月17日掲載の著者インタビューにやっと邦訳が出たので参照されたい。本ウェブサイトでも御立尚資氏が先月「ロングテール礼賛を超えて」と題し「尻尾より背中」と面白いことを書いておられる。
しかしながら、ゴームズ氏の記事は「礼賛を超えて」などという穏やかなものではない。「『尻尾が頭を追い抜く』というのは、話としては素晴らしい。だが世界中、どこを探してもそんな事実はない。ロングテールは誇大広告であり実態とかけ離れている」とバッサリ切り捨てたのだ。
「98%の法則」は2年古い
『The Long Tail』の序章でアンダーソン氏は、2年前に音楽配信企業Ecastに取材した際、「カタログ収録曲の98%は四半期に1度は再生されている」と聞き「パラダイムの転換」を来すほどの強い衝撃を受け、これを「98%の法則」と呼んだ。それが本著執筆のキッカケと述べている。
この冒頭の下りに関しゴームズ氏は「2年前より在庫がだいぶ増えた今のEcastに取材してみたが、四半期に1度も再生されない曲の割合が2%から12%に増えていた」と指摘。収録110万曲の音楽配信業者、ラプソディーではもっとえらいことになっていた。
ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。










