「若林葉子の「もてるクルマ、もてないクルマ」」

どんな値引きにも負けないもの

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2006年8月18日(金)

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 もしも、自分が買おうとしているクルマやバイクにエンブレムがなかったら…。

 

 どんなに値引きをしてくれるとしても、私はそのクルマを買わないでしょう。それは、例えば高級車がそうであるように、エンブレムが自らのステータスを表すものだから、という意味ではありません。エンブレムとは、ユーザーにとって、数あるクルマやバイクの中から自分はこのメーカーのこのクルマを選びましたという宣言のようなものだからです。

 自社の歴史と誇りが刻みつけられたエンブレムがメーカーにとって重要であるのと同じくらい、乗る側にとってもエンブレムはとても大切なものなのです。

 走行性能には何ら関わりはないけれど、これがなければ完成しない。そんな特異なパーツであるエンブレムを、1947(昭和22)年の創業以来、設計から製造まで自社で一貫生産し続けている会社があると聞き、出かけました。マルイ工業株式会社です。

 当日は工場も見学させていただけるとあって興味津々で出かけました。拝見した美しいエンブレムが出来上がるまでの工程は、驚きと感動の連続でした。

2次元と3次元とは、全く別

 エンブレムの製作は金型の作成から始まります。メーカーから提示されたデザインをもとにCAD(コンピューターによるデザイン)で3次元データを起こして、モデルの削り出しを行います。

 言葉にすると簡単ですが、2次元でデザインを描くのと、3次元の金型までにするためのデザインとは、全く勝手が違います。金型を作成する時点で、その後に起こり得る様々な問題点をすべて把握しておく必要があるのです。

 製造工程上の問題はもちろんですが、実際に装着された時の微妙なカーブといった形状の問題も見過ごせません。平らな所に置いた時とは見え方がまるで変わってしまうので、その差をいかに少なくするかなどは、過去の経験が大きくものを言います。

 問題点がクリアできたら、金型を作って、軽くて強い熱可塑性プラスチックのABS樹脂を流し込みます(射出成型)。

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著者プロフィール

若林 葉子(わかばやし ようこ)

若林 葉子 大阪市出身。立教大学文学部卒。OLを経てフリーランスに。クルマ&バイクの他、ブックレビューなども手掛ける。フリーマガジン「ahead」では執筆の他、企画にも携わっている



このコラムについて

若林葉子の「もてるクルマ、もてないクルマ」

 「自動車メーカーにとって参考になるのは、実は家庭において購買を左右している普通の女性の普通の意見だよ」こういった意見にもとづき、女性の新鮮な目で見た自動車産業をお伝えする。

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