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東大総長選挙に見る、変わることの難しさ

良い遺伝子を守り、悪い遺伝子をなくすには

  • 宮田 秀明

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2006年9月1日(金)

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 「変わらなくっちゃ!」

 もう10年ほど前になるだろうか。イチロー選手が日産自動車のテレビCMで言ったセリフだ。結局、言葉通りに日産は変われなくて、その後に外国からCEO(最高経営責任者)を招いて、ようやく変わることができた。変わること、変えることは難しい。しかし、変わらなければ組織や社会は、回復も進歩もしない場合が多い。

 イチロー選手がこのテレビCMに出演していた頃、私は東京大学も「変わらなくっちゃ!」と、2つの具体的な提案を学内広報誌に寄稿した。

現代にそぐわない閉門時刻

 1つは、大学の閉門時刻の延長である。

 最近まで東大では、夕方6時に大きな門が閉められ、小さな門は夜12時に閉じられていた。研究や学生とのコンパが長引くと帰りは終電になってしまうこともある。こんな時、夜12時を過ぎて大学から出ようとすると困ったことになる。門が閉まっているので、塀越えを敢行しなければならないからだ。

 私がよく越える塀は外側の高さが約2メートル。近くに電柱があるので、比較的乗り越えやすく、東大関係者の“塀越えスポット”になっている。あまりに塀越えが多いので、誰かがそのために踏み台を置いたことがあったほどである。

 ある時、帰宅が夜中の12時になり、目の前で小門がちょうど閉められるところだった。「ちょっと待ってくれ」と大声でお願いした。だが、残念ながら願いは届かず、小門は閉められてしまった。「俺は教授だ。開けてくれ」と、コンパの時だったので酔った勢いで権力を振りかざしてみたものの、当然そんな特別扱いは存在せず、守衛殿は開けてくれない。

 「これで私が塀越えして足の骨でも折ったらどうしてくれるのだ。しっかりとジャンプ力を養っておかなくてはならないのか?」などと悪態をつきたくなったが、冷静に考えれば、守衛の皆さんは職務を全うしただけ。彼らが門を閉じた行動は褒められこそすれ、非難される筋合いはないだろう。

 確かに、東大専門のドロボウもいるらしいし、一時期は近所の悪ガキによるバイク泥棒が横行したこともある。だが、「夜中の12時に門を閉める」という決まり事が、セキュリティーの観点で効果を上げていたかといえば疑わしい。東大の本郷キャンパスには大学病院があり、病院に近い南側の門は基本的に24時間オープンである。他の門を閉鎖すれば、悪意を持った侵入者が忍び込む経路を狭める効果は多少あるかもしれないが、それによって泥棒が減ったという話はついぞ聞かない。

 閉門時刻が、学生や教員の生活スタイルに合っていたとは思えないから、この決め事は明治以来の“しきたり”だったということだろう。最近でこそ、ようやく閉門時刻は30分延長されたが、長い伝統を誇る東大というシステムでは、この程度の“しきたり”ですらなかなか変えることができなかったのである。

 変わらないのが閉門時刻程度ならばまだ影響は少ない。学内広報誌で「変わらなくちゃ」と提案したもう1つの案件は、東大の総長選挙のあり方だ。

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