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時間軸を無視した“国家プロジェクト”の罪

近視眼的な資源エネルギー政策の綱渡り

  • 宮田 秀明

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2006年9月8日(金)

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 2年前に電力会社の経営システムの研究開発を始めた。

 電力会社の経営目標は分かりやすい。社会インフラとして電力を安定供給することと、発電コストを低下させることである。ただし、電力需要の変動は激しい。春夏秋冬の季節によっても大きく異なるし、週の曜日ごとの変動も大きい。1日の中だけを見ても、昼と夜では需要に差がある。とにかく、変動が大きいことを前提に需要を予測しなければならない。

 こうした激しい変動に対応できるよう、私は2つの柱から成る経営シミュレーションを提案した。

 1つは、「LNG(液化天然ガス)」「石油」「石炭」「水力」「原子力」の5つの発電方式を水平統合し、電力供給を最適化するシステム。もう1つは、需要変動から燃料調達までを垂直統合するシステムである。時間発展的に将来予測し、翌年の燃料調達、将来の設備投資、突発事故への対応などを統合的にシミュレーションするシステムの開発を目指した。

電力マネジメントの緊迫した状況

 しかし、当初はこの提案に電力会社の合意が得られなかった。

 「そんな大がかりなシステムの開発には社内の理解が得られません。まずは、LNG発電について翌月の電力供給を最適化することから始めて下さい」

という。

 そこで、LNG発電に関して短期的に将来を予測する経営シミュレーションの開発をスタートした。開発を進めるうちに、様々なことが分かってきた。電力会社は、翌月の燃料調達や備蓄、発電のプロセスに結構なリスクを抱えているのだ。言い方はあまり良くないかもしれないが、綱渡り的な経営が行われている。

 特に、LNG発電は燃料であるLNGがマイナス162度の超低温の液体であるため、燃料備蓄量は20日分くらいしかない。だから、電力供給のマネジメントでは、緊迫した状況が少なくない。

 例えば、最も大きい需要変動がある7月には緊迫度が増す。今年の冬は平年よりも寒くて5~8%程度の需要増があったので、LNGの備蓄量はいつもの年よりも3分の1くらい減少し、その管理は大変だったはずだ。LNG発電は、国内で発電される電力全体の4分の1前後を占めるから、担当者は胃の痛い思いをしたのではないか。もっとも、電力会社の売り上げは伸びて利益も増えたのだが。

 こうした事情で、LNG発電の短期予測シミュレーションを開発して実装に移した後、このシステムで用いた技術を基に中期的な経営シミュレーションや、3種類の火力発電の統合システムへの拡張に取りかかった。研究開始から1年半が経過していた。

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