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あなたの会社、ちゃんと止まれますか

30万トン級タンカーと企業経営の共通点

  • 宮田 秀明

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2006年9月15日(金)

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 もう20年以上も昔のことになる。

 私は、世界最大48万トンのタンカー「日精丸」の試運転で性能担当をしていた。長さが360メートルもある巨大船である。

 広島県の呉から長崎県五島列島沖まで往復、つまり九州をほぼ2周しながら1週間がかりで試運転を行う。私は、船の速力や操縦性能、波の中での性能を最適設計するグループに移動したばかりだった。「日精丸」は3隻シリーズの最終船だったので、新人の私に試運転での性能担当という大役が回ってきた。

 試運転には船を運航する乗組員の主要メンバーが乗っている。船長になる予定の方が私に聞いた。

 「この船、ちゃんと止まりますか?」

 彼は、それまで20万トン級までしか船長の経験がなかった。48万トンの船を操縦する責任者になることには不安がいっぱいだったのだ。私は答えた。

 「ええ、大丈夫です。エンジンを止めると8.5キロ先で止まるはずです」

“時定数”が大きい巨大船

 当時、私が担当していた仕事の1つに、操船シミュレーターの開発があった。コンピューターと映像で作った仮想空間で、実際の船の操縦を訓練するための装置である。船長を訓練するために用いるもので、「日精丸」だけでなく様々な船の操縦性能を学習できる。この装置を通して開発担当者である私も超大型船の操縦性能を体感し、そのフィーリングを試運転の現場での体験と重ね合わせていた。

 現在、ペルシャ湾と日本を結ぶ航路には平均30万トンの原油タンカーが約200隻航海しており、ほとんど一列縦隊を作って、日本の資源エネルギーのインフラを支えている。

 巨大な30万トン級タンカーを操るのは極めて難しい。マラッカ海峡や東京湾内では、極限に近い緊張感を伴った操船が続く。この2つの海域では、海の深さがギリギリなので船底が海底の岩をこすってしまうことさえあるのだ。

 船舶デザイナーの経験が長いおかげで、多様な船を経験した。巨大な商船、水中翼船、ヨット、そして競艇のボートやジェットスキーまで。ここまで広い経験をしたことがあるのは、もしかすると世界中で私がただ1人かもしれない。本当に多様な船の操縦性能を学習した。

 特に難しいのは巨船である。巨大な船は「時定数」が大きいからだ。時定数とは、操作してから実際の結果が表れるまでの遅れ時間のことである

 例えば、30万トン級のタンカーで、自動車の車線変更のような操船をするとしよう。まずは、自動車のハンドルと同じように操舵輪を少し回し、舵を10度くらい回す。

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