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飛行機の翼を描けない理系学生

現場の“泥臭さ”を伝えるプロジェクト教育とは

  • 宮田 秀明

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2006年9月29日(金)

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 中部瀬戸内海での長さ12メートル、重さ8.6トンの実験船「エクセラー」による実験は、短い時で1週間、長い時で3週間、断続的に続いた(関連記事)。

 実験中は、毎朝6時半に起床して8時に出港する。そして夕方5時の帰港まで船上で実験が続く。1日8時間、海の上で揺られているので、上陸しても地面が揺れているような感覚が止まらない。

 常宿にしていた、尾道の対岸にある向島の民宿に戻り、夕食を取った後、実船実験の結果解析に入る。そうした日常の中で週に2回くらいは、英気を養うために渡し船に乗って対岸の尾道のダウンタウンに繰り出した。

 そこで、いつも行っていたスナックがあった。尾道なのに「釧路」という変なネーミングの店だ。3年間も行きつけにしていた店だったのだが、最後まで私たちが東京の大学教員と学生の一行とは気づかれなかった。自衛隊か、東京の建設会社の社員たちか何かと思われていたらしい。

 もちろん、私たち教員は学生に厳命していた。

 「街では、絶対に先生と呼ぶのは禁止だ。社長か、店長か、隊長と呼ぶように」

 そうでなくても、2~3日もたつと、船上生活でたっぷり日焼けしてしまうので、建設会社の現場作業員風に見えたようだ。飲んだ帰りはいつも午前2時。それでも朝8時の出港時間に変更はない。双胴の水中翼船の開発の最終段階は、まるで軍隊の現場のような毎日だった。これは、プロジェクトベースでの研究教育のひとコマである。

簡単な小テストの結果は…

 最近、毎年3年生になって進学してくる50人ばかりの学生に簡単な小テストをしている。

 1)飛行機の翼の断面形を描きなさい。
 2)乗用車の歯車の使われている位置を示しなさい

 この2問である。

 実は、この問いに何とか正解を出せる学生は約3割でしかない。みんな工学部の学生なのに、飛行機に乗っても翼を観察したことはなく、車という工業製品のメカニズムに興味を持ったこともないのだ。

 こうした学生たちに、大学では工場見学やらインターンシップやらたくさんのメニューを用意して、製造業の現場を見せるようにしているのだが、最も効果的なのはプロジェクトベースの教育である。

 約20年前に、実験室レベルの設計と工作を伴うプロジェクト教育を始めたのだが、1990年頃にはそれが人力船プロジェクトに発展した。実際に人が乗る小型船を設計し、建造し、日本一を競う全国大会に出場するのだ。鳥人間コンテストの船版と言えば分かっていただけるだろう。一時はテレビ放映もあり、3年間、所ジョージさんと並んで解説者を務めたこともある。

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