結局ウワサは本物だった。「買収交渉大詰め」の情報がリークした先週金曜から、シリコンバレーはもう、蜂の巣をつついたような騒ぎ。そして今さっき買収が成立した。グーグル創業以来最大のディール。今四半期中に取引完了とのことだ。詳細は他のニュースに譲るとして、ここでは現地で眺めてきた激動の3日間を手短かに振り返っておこう。
発端は「根も葉もない噂」
10月6日(米西海岸、以下同じ)、TechCrunchブログに爆弾が舞い込んだ。「グーグルのYouTube買収の交渉が最終段階に入ったらしい。買収額は16億ドル」。かなり良い筋からの情報だ。こんなビッグニュースを抱えたまま11万購読者を抱えるマイケル・アリントンが布団につけるはずがない。「この手の噂は部分的にでも本当である確率は40%だ」と二重三重四重に釘を刺し、「根も葉もない噂」とタイトルを打って配信したのがこちらの初報(日本語版)。
噂は根も葉も振り切ってブロゴスフィアを駆け巡った。
「マイクが噂のマッシュアップを始めた」(現地紙)、「YouTubeを合法ビジネスに転回できる技術力と資金力がある企業はグーグルかマイクロソフト、ヤフーしかないのでは?」、「世界最大のソーシャルネットワークMySpaceを昨年買収したマードック氏が払った金額は5億8千万ドルだ。16億ドルはいくらなんでも高過ぎる」、「グーグルは曲がりなりにも上場企業。あんな海賊版のゲットーを引き取るわけがない」と反対派が言えば、「ウェブ動画配信でトップに飛び出る即効薬ではないか。安い買い物だ」と歓迎派が応酬。それぞれの思惑から様々な観測が乱れ飛んだが、それにしても両社からは一向に何の公式見解も無い。これだけの規模のニュースでありながら情報があまりにも出てこないことで、イラついた読者や業界関係者の間からは同ブログに「裏も取らずに報じるな」「そんなにトラフィックが欲しいか」など厳しい批判のコメントが相次ぎ、間のマイクは非常に苦しい立場となった。
報道合戦にWSJが参戦、ヤフーが値段をつり上げた?
まんじりともしない夜が明け土曜朝、今度はウォールストリート・ジャーナルが独自のソースから得た情報として買収交渉の話を 伝えた(リンク先閲覧には登録が必要)。これで、「デタラメな風聞ではないな」となり、世界中のメディアが狂ったようにこの買収ニュースに飛びついた。
いきなり火がついた世論の勢いに押されるように水面下ではグーグルが競合他社からの介入を警戒し、早期成立に向け一気にシフトを切り換えた。後の情報では「交渉で最後の瞬間まで価格を吊り上げたのはヤフー」という裏話も伝えられたが、この週末の2日間で5000万ドル値段が競り上がったことになる(10/10 19:00金額を訂正しました)。
そして月曜。ニューヨークタイムズが「本日役員会、早ければ取引閉会後に発表」と報道。みんなが今か今かと固唾を飲んで見守る中、役員会は双方とも無事承認を得て、太平洋時間の午後1時半、グーグルがついに 正式発表、という流れになる。
結局、スクープには根も葉もあったわけだ。まさに3日間の急転直下な出来事だったが、金曜夜のリークが無かったらここまで早く成立に漕ぎ着けたかどうかは分からない。
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