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数値目標の“暴走”をどう防ぐか

2006年10月24日(火)

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 長年、企業の取材をしていて、しばしば話題になるのは「手段の目的化」問題である。大きな目的があって、それを達成するためにある手段を取り入れたものの、いろいろ取り組んでいるうちに、その手段を使いこなすことばかりに気を取られ、いつしか最初の目的を忘れてしまう、という状態を指す。

CRMの仕組みを取り入れてみたものの

 手段の目的化に陥っている例はいくらでも挙げられる。「顧客に対するアフターサービスを改善させるために、CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)の仕組みを取り入れる」といってプロジェクトを始めたものの、途中からCRM支援の情報システムを動かすことが優先されるようになり、最後になるとプロジェクトメンバーは徹夜をしたり、追加予算を獲得する画策をしたり、「システムの中でこの機能は先送りしよう」と議論したり、大騒ぎをする。なんとかCRMシステムを完成するが、その時には全員疲れ切っており、アフターサービスの改善につながったのかどうか、うやむやのままプロジェクトチームは解散する。

 手段の目的化は情報システムには限らない。経営手法もまた、目的に化けてしまうことがある。例えば、ISO(国際標準化機構)のマネジメントシステムである。品質、環境、CSR(企業の社会的責任)など、様々な分野についてマネジメントシステムが用意されており、多くの企業が導入、今も取り組んでいる。製造業へ取材におじゃますると、受付に「ISOの××を取得した」といった趣旨のプレートが飾ってあることが多い。ところが社員に聞くと評判はいま一つであったりする。「文書をたくさん作らなければならず、仕事が増えただけ」「取引先の指示でやむを得ず取り組んだが、だからといって品質が改善したとは思えない」といった声をしばしば聞く。

 成果主義を巡る騒動も、手段の目的化がもたらした悪例の1つである。自戒を込めて書いているのだが、「成果主義」とだけ書いてしまうと、人によって思い浮かべるものが違っており、その結果として見当違いの論戦が起こったりする。成果によって処遇すること自体には誰も反対しないだろう。ところが、人事の仕組みをいじりだすと、成果主義の制度を入れることばかりが優先され、もともとの狙いや意図が曖昧なまま、現場に新しい制度が押しつけられた格好になってしまう。

なぜ失敗につながるのか

 いろいろな失敗事例を聞いていて思うのは、「数字に弱い」ということである。何かの目的があり、その目的に向かっているかどうかを把握する「手段」として数値目標を設定するわけだが、数字は分かりやすいため、数字を達成することが「目的」となっていく。

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「数値目標の“暴走”をどう防ぐか」の著者

谷島 宣之

谷島 宣之(やじま・のぶゆき)

日経BPビジョナリー経営研究所

一貫してビジネスとテクノロジーの関わりについて執筆。1985年から日経コンピュータ記者、2009年1月から編集長。2013年から現職。プロジェクトマネジメント学会員、ドラッカー学会員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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