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相次ぐ製品リコールの裏にあるもの

「継承できる力」と「できない力」

  • 宮田 秀明

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2006年10月27日(金)

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 日本メーカーの品質問題の報道を見ることが多くなった。最近では、ソニーのパソコン用電池。その前は、自動車大手の品質問題がメディアをにぎわしていた。こうした“事件”をキッカケに日本の成長を支えてきたものづくりの力が落ちていると指摘する声は強まりつつある。

 報道によれば、自動車メーカーのリコールで原因の70%を占めるのは“設計ミス”によるものだという。こうした事例は、設計学の継承の難しさを物語っている。改まって言うまでもないかもしれないが、新製品の設計は難しい。特定の機能では性能が大幅に向上したのに、別の機能に悪い部分が発生して、それが致命傷になるような例も少なくない。

船舶デザイナー生活で最も屈辱的な経験

 1994年。私が設計したアメリカズカップ艇「JPN30」は、まさにそうした状態だった。米国サンディエゴ沖で重ねたテストでは、結果が現地から私の手元にファクシミリで送られてくる。その多くは、真っすぐ走る時の性能はいいのだが、曲がる時の性能が悪いというものだった。

 「こんな渦が出ます。良くないのではないですか」

 頭のいいニュージーランド人セーラーからのファクシミリには船首の回りにできる渦の絵まで描かれていた。

 「ああでもない、こうでもない」と議論するうちに結局必要な性能が得られず、レースの2カ月前に急遽大改造を加えた。さらに、その前に行われたワールドカップに現れたオーストラリア艇の真似までしてしまった。長い船舶デザイナーの経験の中で最も屈辱的な経験である。

 言い訳になってしまうが、開発期間があまりにも短かった。簡単にはなかなかうまくいかないだろうことは、最初からかなり予想ができた。だから、アメリカズカップの仕事を引き受けた時、予算の30%を将来を見据えた中期的な開発に使うことにした。1995年のレースだけでなく、2000年に行われる次の大会のための技術開発を同時並行で進めたのである。結局、ヨット専用のコンピューターシミュレーション技術が完成したのは1995年冬。その年のアメリカズカップの真っ最中だった。

 2000年のアメリカズカップに向けた技術開発では、このシミュレーション技術が核になった。設計した艇のデータをコンピューターに入力すると、夜のうちにシミュレーションが行われて、翌朝には船の性能が分かる。これを毎日のように繰り返した。こうして1年に200隻の設計とシミュレーションを実施した。私のチームで設計開発の作業をしていたのは、研究室の助手と大学院生。2人ともヨットの設計は未経験の20代の若者だった。

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