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小売店はどのように生きていくか

2006年12月4日(月)

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 私の家の近くにコンビニがあった。元は八百屋さんだったのだが、業態転換してコンビニエンスストアチェーンの末端に入った。そこまでは正解だと思う。このコンビニが他店とちょっと違っていたのは、八百屋も引き続き営業していたことだ。

 ご主人は八百屋としての免許を持ち青果市場の鑑札を持っているから、それを生かしたかったのだろう。ところがご主人はどういうわけかニラ・ニンニク系が大好きで、それらを大量に並べるので、店全体が匂う。しかも仕事大好き。勤勉を絵に描いたような人で、暇があれば、店の整理をしたり、掃除をしたりする。いでたちは、前掛け、長靴、捻り鉢巻の伝統的な八百屋スタイルだ。

 店に出れば、漫画の立ち読みの客がどうしても気になり、文句を言う。手に取った商品の戻し方が悪い客にも文句を言う。店員を叱りつける。揚げ句の果てに「一万円札はお断りします」というような紙をレジに張ったりする。

店主のあまりの熱心さが裏目に

 お客はドアを開けた途端のニラの臭いに驚き、オヤジさんの姿と言動にたまげ、「一万円札お断り」というような態度にびっくりして、寄りつかなくなる。野菜は古くなるから臭いが強くなる…、ますます客は来なくなる…、客が少ないし商品が古いから売れない…、客は寄りつかない…、売れない…、という悪循環だ。とうとう潰れてしまった。近所の噂によれば、「いい加減なところで諦めれば、少しはお金が残ったのに、最後まで頑張りすぎたねえ…」。

 経営者が替わり、その店は改装されて100円ローソンになった。その途端に、いつ行っても「押すな押すな」。昼も夜も平均15名ほどの客が入っている。レジ前はいつも行列だ。この辺りはコンビニ激戦区で、半径100メートルの範囲内に10軒以上のコンビニがあるが、たぶん一人勝ち状態だ。私にとっても、「ちょっと、気晴らしに行ってこようか」という場所になっている。

 小売業に関する限り、オーナーの熱心さは危険なことが多い。独り善がりにつながりやすいのだ。アルバイトは主人に怒られてクビになる危険があるから、お客に対して丁寧な対応をする。ところがオーナーはお客とけんかしても、お客1人分の売り上げが減るだけだから、「嫌なやつには、買ってもらわなくてもいい」というような態度が滲み出てしまう。八百屋のオヤジさんはそんなタイプだった。

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「小売店はどのように生きていくか」の著者

橋本 久義

橋本 久義(はしもと・ひさよし)

政策研究大学院大学名誉教授

政策研究大学院大学名誉教授。東大卒後、通産省入省、製造業担当。1994年埼玉大教授。97年政策研究大学院大学教授、2011年から現職。現場に近いところで行政を・学問を!をモットーに多数の工場を訪問。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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