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日本の事業構想力を底上げする九州大学

  • 丸山正明

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2006年10月30日(月)

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 2006年10月10日に『九州大学 COE 大学改革 真のユーザーに向けて』という本を上梓した。タイトルに「大学」と入っているため、“教育書”と思われがちだが、あくまでも“ビジネス書”として書いたつもりである。多少、大げさな言い方をすると、日本が今後も先進国として生き伸びるための処方箋になってほしいという思いで書いた。

図版
『九州大学 COE 大学改革 真のユーザーに向けて』(日経BP社) 2000円(税込み)

 1990年代に日本企業は製品開発力が欧米に追いつき、世界のトップランナーの仲間入りを果たした。ところが90年代後半になると、日本は事業構想力が欠如していることが明らかになる。いわゆる「失われた10年」を招いた理由は、金融システムの後進性と同時に、実は事業構築力の未成熟さでもあったからだ。

 80年代に日本は貿易黒字を続け、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」とおだてられた。80年代は、日本は欧米の事業構築案を導入し、得意のカイゼンによって品質向上と低コスト化を追究すればよかった。ところが日本が先進国としてトップランナー化した途端に、欧米は競争相手の日本に対して研究開発成果の技術移転を拒んだ。事業構想案の基となる技術シーズを手渡さなくなったのだ。そして、日本に対して基盤技術ただ乗り論をぶつけてきた。

日本の半導体が急落した理由

 この指摘に反論できない日本は、貿易黒字による収益を原資とし、基盤技術の研究開発に力を入れた。この結果、日本の大学や公的研究機関、企業の研究所は優れた研究成果を上げ始めた。しかし、日本企業の事業構想力は未熟なままだった。研究成果から生まれる技術シーズを基に事業を構築する力が弱いために、日本企業の多くは苦戦を強いられた。

 その典型が半導体だった。量産タイプのDRAM(記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリー)では一時、世界シェアの半数以上を占め、ものすごく稼いだが、研究成果(技術シーズ)を事業に反映させる構想力に乏しかったため、シェアは急落した。非量産タイプの半導体では事業そのものが低迷した。

 激しい国際市場で競合するには、市場が求める製品・サービスを迅速に提供する事業構想力が不可欠となる。優れた研究成果を事業にするという事業構想力を十分会得していなかった日本企業は事業展開に低迷する。電機産業は、アジア・中国からの追い上げに苦しめられる。

新規事業起こしは「オープンイノベーション」で

 この間に、米国は「オープンイノベーション」に移行する。新規事業起こしのタネとなる技術シーズは世界中から集める。要は、新規事業を構築でき、独創的な高付加価値製品を国際市場に投入することで収益を上げる戦略を採る。

 この場合に、新規事業の基となる独創的な技術シーズの供給先として大学に着目する。大学では多くの優れた教員・研究者が様々な研究に従事しているため、多くの優れた研究成果を上げている。これを企業の新規事業起こしのタネに使おうという発想だ。企業の基盤研究・基礎研究を大学と公的研究機関が担うことになる。

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川野 幸夫 ヤオコー会長