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“人づくり”を忘れた国家の行く末

ノーベル賞の多寡に飛躍しがちな、大学教育の議論

  • 宮田 秀明

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2006年11月17日(金)

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 中国・大連出張の続きである。

 大連理工大学を訪れた。この大学は、中華人民共和国の建国と同時に設置されたので57年の歴史がある。“理工大学”という名だが、最近は、経営や社会科学にも力を入れており、ほとんど総合大学と言っていい。1万8000人の学部学生と、1万6000人の大学院生が在学していて、東京大学より規模が大きい。中国全土でこの大学と吉林大学だけは、日本で教育された教員が多い。

 一番驚いたのは社会人学生の人数だ。約1万6000人の社会人学生が在学しているという。この人数だけでもすごいと思うが、上述した学部学生と大学院生を合わせた3万4000人とは別だというから、その規模の巨大さに2度驚かされた。休日には、郊外にある本部キャンパスが社会人学生が通学に使う乗用車であふれかえる。本部だけでは足りず、市内の旧キャンパスも社会人教育用に使われているそうだ。

 社会人学生の多くは、経営やプロジェクトマネジメントを学びに来る。中国でこうした教育が進んでいるとは聞いていたが、さすがにこれほどの規模とは想像すらしていなかった。ちょうど15年間、私が中国にご無沙汰していたせいもあるが。書店に経営やプロジェクトマネジメント関連のビジネス書がたくさん置かれているのは、社会人教育と深い関係があるのだろう。

 初等、中等から大学までの教育では日本より長い拘束時間でしっかり鍛え、そのうえで社会人教育を大規模に展開しているというわけだ。中国では文化大革命の後遺症として50代に優秀な人材は少ないと言われている。その代わりに30~40代の社会人を再教育しているのである。経済の急成長とともに個人所得も急激に増えているので、社会人学生のモチベーションが高いのだろう。

日本で大学教育の競争力が低い理由

 それにしても“国づくりは人づくり”という国家の基本を忠実に実行しているのは正しいことだ。

 さて、日本はどうか。大学の競争力を計る物差しとなるのは「教育」「研究」「社会貢献」の3つである。この3本柱のうち、研究についての国際競争力はそう低くはないのだが、教育は低い。スイスのビジネススクールで「国際競争力年鑑」を発行しているIMDの評価も同様で、これを裏づけている。

 教育の競争力が低い理由は2つある。1つは、以前このコラムで書いたように留学生教育の体制が整っていないこと(関連記事)。もう1つの大きな要因が社会人教育の貧弱さだ。

 国家の政策として、留学生と社会人に対する教育のポリシーがない。文部科学省の中心テーマは初中等教育で大学教育ではないからである。これまでの動きから考えると、安倍政権が掲げる教育改革の主要テーマは初中等教育に集中しそうである。大学の国際競争力を強化しようという話になると教育は置き去りにされて、研究のことだけを考えがちだ。研究についても、一足飛びにノーベル賞受賞者の数に議論が飛躍してしまったりする。

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