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進化する米国テレビドラマと“CM飛ばし”の関係

エンドユーザーの消滅に立ち向かう術

  • 須田 伸

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2006年11月21日(火)

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 「24」の第5シーズンをDVDで見終わりました。実によくできたドラマです。お金もかかってます。ご覧になった方は分かると思うのですが、DVDのスタッフロールの一番最後には映画でお馴染みの「20th Century Fox」のロゴがファンファーレの音とともに登場します。

 アメリカのテレビのプライムタイム(日本で言うゴールデン)のドラマの多くはハリウッド映画スタジオのテレビ部門が製作しています。その大きな理由の1つが1960年代から90年代半ばまで存在していた「フィンシンルール(Fin-Syn Rule)」にあるとされています。

映画会社がテレビドラマを作っている背景

 フィンシンルールとは、テレビの3大ネットワークが巨大な放送インフラを背景にコンテンツ製作までコントロールしてしまうことを防ぐために、プライムタイムの枠内の一定量は社外で製作することなどを定めた法令です。この規制によってハリウッドの映画スタジオは、テレビ番組の製作でも大きな力を持つようになりました。

 映画会社がテレビドラマを作ることには大きなメリットがありました。ハリウッド映画はヒットすれば世界規模で興行収入があるわけですが、コケれば逆に大きな損失を生むリスクを抱えています。それに比べるとテレビドラマの製作は安定した収益が見込めるわけです。またテレビドラマで人気になった俳優を映画で起用すれば、ファンが映画も見てくれる可能性が高い。このため従来は、テレビドラマで売れると、映画にステップアップしてテレビドラマからは卒業するという「出世コース」が一般的でした。医療ドラマ「ER」で人気になり、ハリウッド映画スターになったジョージ・クルーニーがこの典型的なパターンです。

 ところが最近は、ドラマを卒業したはずのハリウッドの映画スターたちが再びテレビドラマに出演するようになってきました。「24」主演のキーファー・サザーランドもそうですし、「ザ・ホワイトハウス」のマーティン・シーンもそうです。

ハリウッド映画より豪華で面白いテレビドラマ

 俳優だけでなく、脚本家や演出家といったスタッフ陣もテレビドラマを積極的に手がけています。かつてのテレビドラマはハリウッド関係者から、「クリエーティビティーよりも分かりやすさが大切な、映画よりもワンランク下の存在」と見られてきました。それが今やギャラにしても、業界内での名声にしても、表現者としてのクリエーティビティーの満足度からしても、テレビドラマはハリウッド映画と肩を並べるほどになったと言われています。

 「映画の方がお決まりのシナリオが多く、近頃つまらない」という声をしばしば耳にするくらいです。

 プライムタイムのテレビドラマ1話当たりの平均製作費も200万ドル(約2億4000万円)を軽く超え「アメリカのテレビドラマは今が黄金期」と言う業界関係者も少なくありません。

 日本でも話題の「24」「LOST」「デスパレートな妻たち」など現在のアメリカの人気テレビドラマは、これまでのテレビドラマの文法を覆すようなユニークなプロットを、一流の俳優陣と一流のスタッフが潤沢な予算で映像化していて、エンターテインメントとして素晴らしい仕上がりです。

テレビドラマにお金をかけられる理由

 こうしたアメリカのテレビドラマは今や、1回の放送で終わりではなく、インターネットでの配信や、iPodでの有料課金での販売など、多角的に展開される時代になっています。

 例えばNBCの新ドラマ「Heroes」の放送は月曜夜9時。放送終了から数時間後の午前2時には、NBC.comでCM付きで公開されます(日本から見ることはできません)。さらに翌日の正午までには、アップルのiTunesストアで1ドル99セント(約240円)でCM抜きで販売されます(これも日本からは購入できません)。NBCのCEO(最高経営責任者)、ジェフ・ザッカー氏は「今後もデジタル時代に対応するNBCに変革をしていく」とAdvertising Age誌でのインタビューで答えています。

 このようにアメリカのプライムタイムの人気ドラマは、アメリカ国内では放送後に有料ダウンロード(または広告付で無料ダウンロード)でパソコンやiPodで視聴することができる番組も増え、また日本を含む世界中でDVDや関連商品の販売も好調であるなど、その収益源は確実に広がりつつあります。

 アメリカのテレビ局の多くがテレビCMからの収益を減らしている中で、このテレビドラマの充実ぶり(人材、コスト、展開、収益源などあらゆる面で)は、注目すべき現象だと思います。ドラマへの投資を可能にしているのは、彼らが巨大メディアグループの一員であるためです。

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