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軽の革新派「ソニカ」にダイハツの底力を見た

  • 牧野 茂雄

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2006年11月30日(木)

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 今、軽自動車はちょっとしたバブルである。登録車(軽自動車ではないクルマ)の国内新車販売台数は10月末までで前年比マイナスだが、軽はプラス。 2006年の年間販売台数は、史上初めて200万台を超える可能性が高い。その好調市場にダイハツ工業が送り込んだのは、売れ筋の「背高ワゴン」ではなくターボエンジンを積んだ「小さなスペシャリティカー」だ。ダイハツが「ゲタではなくカッコいいスニーカーをつくりたかった」と言う「ソニカ」は、狙っているマーケットも興味深い。

図版
2006年6月に発売されたダイハツ工業の「ソニカ」。希望小売価格は118万6500円(税込)から

 秋の斜光にパールホワイトボディの陰影が映える。微妙な凹凸で構成されたボディは「面」の造形そのものを見せることが狙いなのだろう。担当デザイナーは、彫刻刀で深くえぐったようなキャラクターラインをあえてボディ側面に入れず、面の丸みが演出する陰影を誇らしげに、しかしさりげなく見せる工夫を注いだ。ちょっと、ほかの軽自動車にはないムードだ。

エクステリア、インテリアとも他の軽とは一線を画す

 ボディ寸法が規制されている軽自動車は、室内空間を目いっぱい確保しようとするとボディ面がのっぺりと平らになってしまう。特に、室内容積を競う背高ワゴンでは「空間か、見栄えか…」の駆け引きで見栄えが優先されることは、まずない。「A車に比べて天井高はプラス何ミリ、室内幅はプラス何ミリ」というセールストークの方が大事なのだ。

図版
ソニカの室内空間。背高ワゴンほどの広さはないが、窮屈な感じはない

 ソニカは「見栄え」優先だ。だが、その分だけ室内を犠牲にしているかというと、決してそんなことはない。むしろ広さを感じさせる。運転席/助手席に座ると、ちょうどヒジの高さのドア内張りが大胆にえぐられている。インパネ(インスツルメントパネル)は珍しいインバース(逆ぞり)面。その面がきれいに両翼へと延び、ドア内張の「えぐり」につながる。このインパネからドア内張りへのラインが、今までの軽自動車にはない雰囲気を作り出している。

 フロントウインドー下端のラインは、やや低めの前席の着座高に対し、あえて高めに設定。それが「包まれる安心感」につながる。そして軽とは思えない大きめのシートは、座面だけカップルディスタンス(左右着座位置の間隔)をあえてほぼゼロとし、「寄り添う」ような感覚。運転席と助手席とを隔てているアームレストをはね上げてしまえば、2人の距離はグッと縮まる。

 その代わり、後部座席は思いきり後ろに寄せた。前席から後方を振り返ると後席は遠い。後席に座っても前席が遠い。低い天井が、その距離感をさらに助長する。そして、どの席からも目に入るのは大きなセンターインパネ。オーディオセットが組み込まれた「箱」だ。邪魔に感じるほど、あえて大きくしてあるように思う。しかし、乗っている人にとっては共通のシンボルになり得る。

保守本流があってこその「革新派」

 ソニカのスタイリング(造形)とパッケージング(空間設計を含めた全体のレイアウト)を細かく見ていくと、何度も「あえて」という表現を使いたくなる。「普段はこうはしないのですがね」という意味だ。今の軽市場でウケている商品が持つ特徴を、ことごとく否定した仕上げである。少々失礼な表現だが、寸法規格を使い切るのではなく、ムダ遣いすることで「みじめったらしい広さを演出しなければならない呪縛」から開放されている。

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