• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

山籠もりの行に出た
ニッポン工業デザインの開祖

  • 石山修武

バックナンバー

2006年12月11日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 新宿西口の超高層ビルに観世音菩薩が姿を見せるらしいとの噂を聞いた。今の噂は情報と呼ばれ、風ではなく電子で運ばれる。世界中に聖母マリアの奇跡に類する噂は多く、それで今の夜に巡礼の大行列が出現したりする。人間は誰でも、人種を問わず奇跡の噂には弱い。

 「道具寺道具村建立縁起展」が10月27日から11月5日まで、新宿のリビングデザインセンターOZONE・3Fパークタワーホールで開催された。日本のインダストリアルデザインの開祖とも言うべき栄久庵憲司と、氏が率いるGKデザイングループの大展覧会であった。展示は大きく2つに構成されていた。入口近くの第1室は「道具世界曼陀羅」と名付けられ、GKのこれまで、長年の歴史を作品によって示しながら、現代へのデザインの提案も数多く示された。

図版
展覧会場でガラスのコンテナに入る栄久庵さん。和歌山県の山中でこの中に入り、山籠もりの行を行った(写真:田中昌)

 次の第2室が噂の観世音菩薩の顕現の間、奥の院である。栄久庵さん独自の用語で、「行」と「聖」の2つに分かれる。天井高の高い第2室には実物大のガラスのハイテクコンテナが和歌山県・白浜町の森林から飛来して、ソフトランディングしている。このガラスのコンテナは道具庵と呼ばれ、この内で栄久庵さんは2005年10月に山籠もりの行を行ったと言う。

 白浜町には今、道具寺建立、道具村建設の一大プロジェクトが進行中だ。このプロジェクトは栄久庵さんとGKそして白浜町のプロジェクトであるばかりではなく、考えようでは日本のプロダクトデザイン、つまりモノ作りの将来にとって大事な計画である。それで栄久庵さんは山籠もりの結願の行までなしたのだ。2007年春からは北海道を皮切りに、全国を勧進して巡るそうだ。

現代によみがえる勧進聖

 近代になってデザイナーという職業が独立して存在することになった。その以前、古くは多くその役割を僧侶が果した。空也上人をはじめ、弘法大師空海もまた勧進聖として修行した時期があった。鎌倉時代再建の東大寺は、ほとんど無名だった勧進僧重源によって成し遂げられた。彼等聖達は自ら歩き、資金を集め、良くデザインし、橋や寺や鐘や池までも作った。東大寺再建などは今の時代で言えばアポロ計画に比する位の国家的大事業であった。士農工商と分化されずに僧侶は総合者として、その全てを良く成し遂げた。

コメント0

「石山修武の「もの・つくる人賛歌」」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック