「ネット狂騒時代、テレビ局の憂鬱」

【第9回】NHK受信料義務化で民放の「くだらない番組」が増える?

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2006年12月14日(木)

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 NHKへの受信料の支払いが法律で義務化される、というニュースを耳にしたことのある読者は多いと思う。実は、政府が検討している受信料制度の見直し策は、支払いの義務化にとどまらないことが取材を通じて分かってきた。

 政府で受信料制度の見直しを検討しているのは、放送行政を担う総務省である。見直しのきっかけは、NHKによる一連の不祥事に端を発する受信料の不払い拡大だ。そんな事態を二度と引き起こさないためにも、総務省は2007年の通常国会に放送法の改正案を提出し、NHKによる受信料の徴収に、より強い強制力を持たせようとしている。

 受信料制度をはじめとするテレビ局のビジネスモデルについて、この連載をベースに大幅加筆した拙著『テレビはインターネットがなぜ嫌いなのか』をご覧になっていただければと思う。

 ここでは受信料制度の見直しに焦点を絞って、深く探ってみよう。

テレビの購入者にNHKへの通知を義務化

 総務省が作成している放送法の改正案には、「テレビを設置した人はNHKに受信料を支払わなければならない」という新しい規定が盛り込まれている。この規定によって、支払いが義務化される。

 加えて総務省は、「通告の義務」という規定を放送法に設けようとしているのだ。テレビを買って自宅に設置した人は、設置した日付をNHKに連絡しなければならなくなる。テレビを持っていることをNHKに隠して、受信料の支払いを不正に免れることが無いようにするのが目的である。

 テレビを設置した日付をNHKに偽るなどして、受信料の支払いを不正に免れていたことが発覚するとどうなるのか。支払いを免れた分の受信料に加えて、放送法の規定に基づいて割増金の支払いを追加で求められることになりそうだ。割増金は支払いを免れた受信料の2倍程度と見られる。

 さらに、これまで受信料を支払っていた人が、途中で支払いを怠ると、レンタルビデオの延滞金ように、受信料の延滞金を支払う制度も新たに放送法に盛り込まれる。

 「支払いの義務」に、「通告の義務」「割増金制度」「延滞金制度」を加えた4点セットが、総務省が検討している受信料制度の強化策の全貌である。

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著者プロフィール

吉野 次郎(よしの・じろう)

日経ビジネス記者。1期生として慶応義塾大学環境情報学部を卒業。1996年に日経BPに入社し、通信業界の専門誌「日経コミュニケーション」で2001年までNTTと新電電の競争や業界再編成を取材。2007年まで通信と放送の専門誌「日経ニューメディア」で、通信と放送の融合やデジタル化をテーマに放送業界を取材。現在は「日経ビジネス」で電機やIT(情報技術)業界をカバーする。好きな季節は真夏。暑ければ暑いほどよい。お腹の出っ張りが気になる年齢にさしかかり、ダイエット中。間もなく大型バイク免許を取得する予定。著書に『テレビはインターネットがなぜ嫌いなのか』(日経BP)。



このコラムについて

ネット狂騒時代、テレビ局の憂鬱

「ネット」と「テレビ」。通信と放送の融合が進み、新しいメディアの秩序が生まれようとしている。強烈な熱意を持つIT・ネット業界に対して、テレビ業界側の反応は煮え切らない。行くも地獄、残るも地獄−−。ネットとテレビという新旧メディアの間で、テレビ関係者はジレンマに陥っている。この特集ではネットへの対応に頭を抱えるテレビ業界の実像に迫っていく。

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